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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第39章 デートの日1



シャワー後に簡単な朝食を済ませ、スニーカーの紐を結ぶ。

「出掛けるん?」
2階から降りてきたパジャマ姿の恵里奈。

「マコトと会う」
「クソ暑いんに、黒ってのが暑苦しい」

ハーフジップアップパーカーに、濃灰のセンタープレスパンツという格好の侑士に顔を顰めた。
バッグまで黒やし、とボディバッグにため息をつく。

「髪、縛りや」
最近、ようしとるやん?と言われ、マコトにやってもらう、と立ち上がる。

「せめて開けろっ!」
ジャッ!と首元のジップアップを下ろされた。
「焼けるやん」
「日焼け止め塗れっ!」
「今、切らしてんねん」
「マコに借りり。
 あ、私、今日、おらんから」
「帰ってけぇへんの?」
「先輩の結婚式」
ほーん、と適当な返事をして、行ってきます、と玄関ドアを開けた。

中等部の頃は毎日乗っていた電車に乗り、真珠と待ち合わせたターミナル駅で降りると、改札を抜けて目印になるモニュメントから少し離れた場所に立つ。

(確かに暑いな)

まだ夏になるに早いやろ、と休日で人通りの多い駅前の通りを眺める。

一つ前の駅を出た、という真珠からのメッセージに、コンビニに入ってよく冷えた微糖紅茶とカフェ・オ・レを買う。
やる気のない、ありがとうございましたー、を背中で聞くと、再び熱気が襲ってくる。

2本のペットボトルを片手に持つと、温度差で曇った眼鏡をパーカーで拭く。

「あの、」

ん?と声の方を向くと、ニコリと見上げる、明後日には自分と似たような制服を着ていそうな女の子。

誰か待ってますかぁ?と、上目遣いで、少し間延びしたような話し方の彼女に、そうですね、と眼鏡をかける。

「恋人待っとるんよ」
「あっ了解です」

サッ、と離れていった彼女は、商業施設の入り口でやはり、同じ年くらいの二人の女子と合流した。

(積極的やな)

危なっかしささえ感じる、と眺めていると、ゆう!と呼ばれ、手を振る真珠に気付く。

「知り合い?」
彼女を振り返る真珠は、涼やかな青のタンクトップに白のシアージャケットとブルーグレーのワイドパンツ。

「ちゃう。
 待ち合わせか聞かれたさかい、ごっつぅかわええ彼女待っとる、て答えた」

ネイビーのバッグを肩に掛け、うわ、と細めた目で見上げる真珠に、笑顔で紅茶のボトルを差し出した。

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