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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第39章 デートの日1



Pipipipipi Pipipipipi

聞き慣れたアラーム音に、んー、と寝返る。

のそ、と布団から伸ばした手が何度かベッドの表面を叩くと、冷たく硬い感触に当たり、音が消えた。

もぞもぞと掛け布団を抱き込んで丸くなる。

意識ははっきりと目覚めている。

目覚めてすぐに、体の異変を察知した。
いや、異変でない。ただの生理現象なのだから。

女の子も大変だろうが、男だって楽じゃない。
しかも、今、我が家に男は自分ひとりしかいないので、余計に気を使うというか、なんというか。

はよ収まってくれ、と丸めた体を揺する。


メッセージの受信を振動で伝えた携帯に、薄っすらと目を開けた。

ニュ、と手を伸ばして手に取ると、おはよー、という真珠からのメッセージ。


先日の校内選抜。
場外指摘は受けたが、大会メンバーを決める要因にもなる上位に食い込むことはでき、これからは大会のオーダーに選ばれるためのトレーニングと再びの校内トーナメントが行われる。

その間の休息期間。

自主練の時間を確保しつつ、真珠の試験期間が始まるちょうど合間だったので、デートの約束をしていた。

(支度せんと...)

そう言えば、部活で使う日焼け止めを切らしているので、それも買おう。
以前見た映画の原作が気になるので、本屋にも行きたい。

(収まらん...)

別に意識を向けようと試みたものの、そう上手くいかずに、諦めて上体を起こした。

-今、起きた-
真珠に返事を打つと、すぐに着信があった。

-おはよー-
「ん、おはようさん」
-あれ?もしかして起こした?-
「起きとったよ」
ならよかった、と笑う声。

-今から家出るけど、ゆう、支度できてからでいいよ-
「ん。駅でええんやっけ?」
-うん。土日は、バスより電車の方が行きやすいから-
わかった、と伸びた前髪をかき上げる。
「家出たら、メッセージするわ」
-はーい。じゃあ、後でね-

通話が切れた携帯を持ったまま、背中からベッドに倒れ込む。

(あかん、声聞いてもうたせいやろか)

自然に治まるのを待つには時間がかかりそうだ、と顔を顰めた。

(めんどいけど、しゃあない)

一番手っ取り早く治めようと、携帯を放り出して、デスクのボックスティッシュを掴み取った。

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