She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第38章 戦友(ライバル)と後輩(ルーキー)
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(な、なんか、気まずい)
じいっ、と向けられる目。
道端ではなんですから、とすぐ近くのファミレスに入り、向かいに並んで座る桃城と越前から向けられる視線におどおどする。
「あの人、女の子に興味あったんだ」
「越前くん?それはどういう意味で?」
苦笑いで問うと、別に、とグラスの水を飲んで目線を逸らされた。
「忍足さんも高校生になったんだし、そりゃ彼女くらい作るだろうけど、まさかこんな風に会うとはなぁ」
興味津々、と言った目の桃城に、なんかすいません、と縮こまる。
「お二人は、氷帝学園とも試合を?」
「そうっす!
俺は1年、2年の時に忍足さんも2年、3年でいて。
U-17の時は、俺、忍足さんに命救ってもらってるんすよ」
命?と桃城の言葉に聞き返す。
「まあ、ちょっと不気味なのがいて...
忍足さんいなかったら、マジで俺、やばかったんで」
そんな事が、と、過去の話でも侑士があまり話そうとしない時期だな、と、気付く。
(日本代表の選抜試合と世界大会は、大変だったとは言ってたけど)
命に関わるなんて、と黙り込む。
「忍足さん、元気っすか?」
「ええ。高校でもテニス、頑張ってます」
「マコトさん、氷帝の卒業生っすか?」
「まったく。受験すらしていません」
ジュースをストローでかき回していた越前が顔を上げた。
「え、じゃあなに繋がり?」
「彼のお姉さんと同じ歳で、学習塾が一緒だったんです。
すごく仲良くしてもらっていて、家を行き来しているうちに」
へえ、と言う越前の隣で、いいなぁ!と桃城が声を上げた。
「俺も彼女作ろっかなぁ」
「作ろうかなって言うほど、桃先輩、女の子と仲良くないでしょ」
「ンなことねぇよっ!
あー、そうだよなぁ、越前にはもういるもんなぁ」
別に、竜崎はそんなじゃ、と桃城から視線をそらした越前。
「誰も竜崎ちゃんとは言ってねぇしぃ?」
「っ!桃先輩のくせに」
なんだとぉっ!?と絡む桃城に、面倒くさそうな顔をする越前に、仲いいなぁ、と微笑む。
テーブルに置いていた携帯にメッセージが届き、噂をすれば陰、と手に取る。
「忍足さんっすか?」
「ええ。あ、来れるか、聞いてみますか?」
「久しぶりに会いたいっす!」
それじゃあ、と今から帰る、という侑士に返事を打った。
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