She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第38章 戦友(ライバル)と後輩(ルーキー)
バスの中で、ふあ、と欠伸をする。
(アカン、昨日、寝るん遅すぎた...)
昨日の帰り、真珠と待ち合わせて寄った書店で買った本を一気読みしてしまい、いつもより2,3時間、睡眠時間が短かった。
眠い、といつもなら文庫を持つ手で吊り革に掴まり、うつらうつらしてしまう。
真珠が乗り込んでくるバス停に到着したが、意識の半分は向こう側に飛んでいて、ゆっくりと瞬きをする侑士を見つけた真珠が隣に来たのに気付いていなかった。
「ゆう?大丈夫?」
ハッ、として顔を上げると、ようやく不安げに覗き込む真珠に気づいた。
「キツイの?」
「いや、眠いだけや
昨日、ちょい夜鷹になってもうて...」
「何時に寝たの?」
「覚えてへん...2時過ぎとった気がする」
あーあ、と言う真珠に寄り掛かるように手を繋ぐ。
「昨日買ってた本、とまらなくなっちゃった?」
「ん、御名答」
あらら、と言って手を握られると、ほどよい温かさに意識がフワついてくる。
「眠れなかったのもう仕方ないから、限界なら、保健室で休ませてもらいなね?」
「ん、わこぅた」
氷帝学園前、と言う、アナウンスに、ノロノロとラケットバッグを担ぐ。
「降りる?どないする?」
時間あるから降りる、と侑士について、バスを降りた。
髪、結うて、とバス停のベンチに座る侑士の頭は、ゆらゆらと揺れる。
「しっかりー。朝練、できる?」
「んー、ん」
聞いてる?と苦笑いで耳の高さ辺りから髪をすくい上げて結った。
「集中できないなら、やめておいたら?
ケガしちゃったりしたら、元も子もないよ?」
うん、と頷くと、ダルそうに立ち上がった。
「行って、来る」
「はーい、いってらっしゃい」
ふらっと手を振って門へ向かう背中に、大丈夫かな?と不安になる。
自己管理はできる人なので、辛ければ休むだろう、と心配を残しながらも、大学方面へ向かうバス停へと歩き出した。
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