She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第37章 君との時間がいつもの自分 ❦
侑士が解錠した玄関ドア。
真っ暗?と真珠は人感センサー付きの照明が付いた玄関の先に首を傾げた。
「和美ママ、帰ってきてないのかな?」
「みたいやな」
追い越しちゃった?と不思議そうな真珠。
「姉ちゃんも、帰ってへんね」
「恵里奈はバイトのはず」
そうやったっけ?とラケットバッグを定位置に置いて靴を脱ぐ。
私室に向かおうとすると、侑士の携帯が鳴った。
「オカンや」
もしもし?と耳に当てる。
-ゆうちゃん、もうお家ついた?-
「今、帰ってきた」
-そう。ママ、跡部さん達と少しお話して帰るから
夜、簡単に済ませてくれる?
帰るの...22時は過ぎちゃいそうだから-
「ん、わこうた」
よろしくね、と切られた電話。
「和美ママ、なんて?」
他の保護者と話あるんやって、と廊下で真珠を抱き寄せる。
「少し、遅なるって」
そっか、と襟足辺りの髪を撫でられ、唇を重ねる。
「なぁ、マコト」
「んー?」
スリ、と胸元に額を擦り付ける真珠。
「誰もいてへんし、一緒、風呂入ろ」
今のうち、と柔らかい髪にキスを落とす。
「今、離れたないねん」
アカン?と頭を抱き寄せる。
「ほんで、また髪、乾かしてほしい」
「いいよ」
大きな背中に腕が回る。
「甘えん坊さん」
「...マコトにだけや」
「そう、今日、見てて思ったの。
ゆうって学校だと結構クール?」
「別に、普通や。
使い分けてへんよ」
じゃあ気のせいか、と輪にした腕の中で言う真珠の手を引いて、浴室に向かう。
「そういう感じに見えたん?」
「なんとなく。
テニスしてる時も、盛り上がる、と言うよりは、すごく淡々と見極めてこなしてる感じがして」
悪い意味じゃなくてね、と握った手を握り返す。
「私の中だと、ゆうって結構かわいい人だから」
「男に『かわいい』はないやろ」
苦笑いの侑士に、褒めてるんだよ?と返す。
「素直に喜べへん」
やって、と脱衣所で真珠と向き合う。
「マコトには、『かっこええ』言うてほしい」
真珠の背後に伸ばした腕で扉を閉めると、そのままキスをする。
「かっこいいは、いつも思ってる」
「結構な殺し文句なん、わこてる?」
「?うん」
「適当、頷いたやろ」
「うんっ」
笑顔の真珠のブラウスの小さなボタンを弄りながら、脱がしてええ?と溢した。
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