• テキストサイズ

She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第36章 ライバル現る?


試合後。
真珠を探していると、僅かに声がした。

下?と階段から覗き込む。

何やら毛利と話している姿に、咄嗟に出たのは

「しんじゅっ!」

せめてまだ、名前は知らないでいてほしい、と叫んだ。

お疲れ様です、と間に割り込む。

越知に、らしくなかった、と言われ、人が多いとダメなんですわ、と適当な返しをする。

知り合いか?と越知が真珠に向けた視線。

嫁だ、と言うと、毛利は結婚しているのか、と驚いていたが、越知は特に反応がなかった。
「まだ16だろう」
冷静な回答に、予定だと答える。

背後から伺うように越知を見る真珠。
上目遣いをやめてほしくて、背中で隠そうとすると、手を握ってきた。

(震えとる?)

僅かにだが、指先が震えていた。

越知の質問に淡々と返し、マナーを教えておく、とその場を離れた。

二人から離れ、真珠をバックヤード側の更衣室に連れて行く。
真珠は、彼らの名前も知らないようで、安心した自分がいた。

声を上げたことを指摘されたのだ、と勘違いしているらしい真珠に、でも応援はうれしいし、と相対する感情に黙り込んでいると、そうっと背中をさすられる。

向かい合う真珠の頬に触れると、ごめんね、と笑った。

「来ちゃ、ダメだったね」
迷惑かけちゃった、と手をかけて腕を降ろそうとする。
「お疲れさまでした。
 しっかり、休んでね」
そう言って離された手を掴む。

「毛利はんと越知はんとこ、行くん?」
「え?」
きょとんとする真珠に、ん?と首を傾げる。

「あ、もしかして、白髪の長身の人とふわふわ髪の人?」
「え、名前、聞いてへんの...?」

知らない、と答えた真珠。

「入り口んとこで、話しよった、よな?」
「あの時、背の高い方の人にぶつかりかけちゃって」
「でも、さっき、毛利はんと...」
「ああ、『名前教えて』って言われて、OGと間違えられてるのかなって。
 名前と卒業生じゃないこと伝えようかと思ったら、ゆうが来たから...」

真珠の説明にふら、と座り込む。

「なに?どうしたの?
 え?は、話しかけちゃまずかった?」

オロオロしている真珠に、ビビった、と手で顔を覆う。

(ナンパされてるんやとばっかり...)

勘違いやった、と要らぬ嫉妬をした自分が恥ずかしくなって、手から顔を上げられなかった。

 ✜
/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp