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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第36章 ライバル現る?



「われ、結婚しとんのけぇ!?」

ええっ!?と驚く毛利。

「忍足、お前はまだ、16だろう」
「嫁になる予定です」
越知に言い切った侑士に、ビビったぁ、と毛利は笑う。

「ええのええのぉ。若かぁねぇ。
 そんくらいの勢いがある方がええよ」
のぉ月さん、と肩に手を置かれた越知は、黙っている。

恐る恐る越知を見る。
(ちょっと、苦手、かも)
真珠は越知の威圧感に耐えきれそうにない、と背中に隠すように手を握る侑士の手を握り返した。

「テニスは、詳しいか?」
越知の問いに、えっと、と口を開いた真珠は、ギュッと強く握られた手を見下ろす。

「いや、経験無いんです。
 応援に来たんも、初めてやから。
 ちゃんとルール教えとかんかった自分の責任です」

すんませんでした、と頭を下げる侑士に、何か間違ったことをしたのかもしれない、と慌てて頭を下げる。

「ご、ごめん、なさい」
「え?なんがやん?
 つきさん、この子になんかされたとね?」

毛利の質問を無視した越知。

「さしあたって問題は無かった。
 むしろ、よかったとも言える」
「いえ、正式な大会やったら、あの場面で声援はマナー違反でした。
 きちんと教えますので」
慌てる真珠の手を引いて、その場を後にしようとした侑士。
あ、あの、と越知と毛利に声を掛ける真珠の手を強く引く。

「申し訳ありませんでしたっ失礼させていただきますっ」

叫ぶように伝え、大股に歩く侑士に遅れまいと小走りになる。


(声、出しちゃダメだったんだ...)
やってしまった、と唇を噛む。
(きっと、あの二人は、注意するために)
『関係者以外立ち入り禁止』と書かれた扉を開いた侑士。
奥の『男子更衣室』の表示に脚が止まりかけたが、強く腕を引かれてついて入る。

カチャン、と掛けられた鍵。

薄暗い部屋には、高い位置にある窓からの光しか差し込んでいない。

「ゆう、さっき、声出したの、ごめんなさい」

続けようとした声は、振り返った侑士に抱きすくめられて、あっ、という吐息にしかならなかった。

「越知はんと毛利はんこと、知っとるん?」
か細い声に、フルフルと首を横に振る。
「えっと、誰のこと、だろ...?」
「さっきん二人。
 背ぇ高いんが氷帝のOB」
「あっそうだったんだ。知らなかった」

先輩だったんだね、と背中に腕を回した真珠をきつく抱き締めた。

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