She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第36章 ライバル現る?
-すべての対戦を終えました。
なお、1年はコートの清掃を始めてください。
皆さん、お疲れさまでした。
各コートの結果は、運営部後方に掲示しています-
壁に投映されているトーナメント表と結果。
侑士はダブルス1戦、シングルス2戦をしており、すべてに勝っていた。
(シングルスの1戦目、何があったんだろう)
コードバイオレーションとなったその試合以外は、相手に1ゲームどころか1ポイントも取らせていなかった。
連絡してみようか、と携帯を取り出した時、おった!と声が上がる。
「つきさん、ミントグリーンちゃん、おったぜよ!」
(ミントグリーンちゃん?)
今日の服や鞄を見てみるが、白のレース襟のシャツにフレアスカートは黒。靴下とスニーカーは白で、バッグはネイビー。
ミントグリーンの要素はなにもない、と自分の姿を見ていると、探したぜよぉ、と手を振る人の隣に立つ姿に、あ!と声を上げる。
「入り口では、ありがとうございました」
スリッパの件、と伝えた応えの、大したことはしていない、の落ち着いた声。
「なあ、ミントグリーンちゃんやい」
「え?『ミントグリーンちゃん』って?」
私ですか?と連れの男性に聞くと、じゃってん、と笑顔を見せる。
「おパンツ、ミントグリーンやったろ」
「おっ!?へっ!?」
嘘、と咄嗟にスカートを押さえる。
「俺、毛利 寿三郎!
ミントグリーンちゃん、名前ば、教えちゃらんね?」
「毛利、その呼び方には問題があるかと思われるが」
「ほんなら、そやねぇ...パンツちゃんにしとこか」
嫌です、と頬が引き攣る。
「調月と、「しんじゅっ!」
名乗ろうとした時、真上から投げかけられた声に、え!?と顔を上げる。
「ゆうっ」
「月さんの後輩やんね」
階段から少し身を乗り出す侑士は、数段飛ばしながら階段を駆け下りてくる。
毛利と越知に向き合い、真珠を隠した背中でその手を握る。
「お疲れ様です」
ギュ、と握られる手に見上げる侑士の顔は、湿った髪に隠れていて、表情がわからなかった。
「今日は、らしくないゲームだった」
「人、多いと、ダメなんですわ」
自分そういうタイプなんや、と意外そうにする毛利。
「知り合いか?」
「嫁です」
越知の質問にそう答えた侑士を見上げた。