She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第36章 ライバル現る?
入れ替わり立ち変わる生徒たちに目を凝らす。
試合には勝った侑士は、コートを出て行ったきり見ていない。
先ほど、掲示板に表示されていた侑士の名前が、黒から青に変わった。
何か意味があるのだろうか、と考えていると、周りの声から、『指摘を受けた』のだと聞こえてきた。
「どうせ、くだらない野次に苛ついたんだろ」
(ゆうは、そんなことでルールを破ったりしない...)
何かあったんだ、と席を立って共有スペースに出る。
今の侑士が向かいそうな場所を探しながら歩き回る。
「つきさーんっ」
手を振る男性とすれ違い、外を探そうと階段の手すりに手をかけた時だった。
「えっ?」
くん、と後ろに引かれた手。
手すりにかけていた手を掴む手に、振り返る。
脱色しているのか、真っ白な髪の一部を青く染めている。
さっきの、と言いかけて、別の声に阻まれる。
「どぎゃんしさったとー?」
ひょこ、と青メッシュの彼から顔を出したのは、毛先にクセの目立つ赤みがかった髪の男性。
「つきさん、知り合いね?」
なんばしょっとー?と言われ、あの、と一歩下がる。
「あっ!つきさんの後輩ねっ!?
応援に来さったとー?」
「毛利、少し、口を閉じてくれないだろうか」
親しげな二人の向こうに、フラッと歩いて行く侑士を見つけ、あっ!と声を上げる。
ん?と言う2人に、すみませんっと謝って人の中に飛び込む。
「ゆうっ待って!」
ちょうど試合の合間だったのか、人の多い空間で、侑士は気づかないまま、見えなくなってしまった。
「忍足の、知人か?」
真上から聞こえ声に驚いて見上げると、『つきさん』と呼ばれた彼が見下ろしていた。
頼める人が他にいない、と彼に詰め寄る。
「彼が、どこに行ったか分かりますかっ!?」
顔を上げた彼が、あそこに、と指差した階段の向こうに侑士らしき影を見つけて、あ!と声を上げる。
「ありがとうございましたっ!」
髪が乱れるのも気にせず、一目散に走り出した。
「ミントグリーンじゃった」
真珠の翻ったスカートから覗いた下着に、ラッキースケベ、と笑った毛利は、いつもの返しがない越知を見上げた。
「つきさん、耳、真っ赤ぜよ」
「もっ問題ないっ」
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