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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第35章 二人の音色



(生のバイオリンの音色、初めて聴いた)

楽譜も無く、かの有名な「カノン」を弾き上げた侑士に拍手を送る。

「バイオリンだっ」
「どんな感想やねん」
「すごいっ初めて生で聞いたっすごいね!」

キラキラとした瞳に満足そうに笑って、再度構える。

「知ってる」
ゆったりとした穏やかな音色に、えっと、と考え込む真珠。

「『ゲーセンジョウノアリア』」
「ゲーセン?」

ちゃう、と笑いながらも、一小節奏で終えると、構えていたバイオリンを下ろす侑士。

「ドイツ読みで『G』の『ゲー』や。
 バイオリンの弦はな、いっちゃん細いんからE線(エーせん)、A線(アーせん)、D線(デーせん)、G線(ゲーせん)呼ぶんや」

一番太い、G線を軽く指先で弾く。

「もともと組曲の中の一曲やった『アリア』言う曲を、このG線だけで演奏するよう編曲された曲やから、『G線上のアリア』。
 正式名は、『管弦楽組曲第3番ニ長調第二曲 エール』言うんやで」
「『ジーセンジョウ』だと思ってた!」
「有名な曲やけど『アリア』のイメージが強うて『エール』言うと、また雰囲気ちゃうよな。
 ちなみに『Yell』やのぉて『Air』。仏語読みやね」
「『空気』?」
「『歌』言う意味もあんで」

調律できとるな、とバイオリンの状態を確認する侑士に聞く。

「合ってるのかって、耳頼り?」

俺はな、と言って、掌に乗る小さなカードのようなものを取り出した。

「チューナー言うて、これで確認する方法もあんで。
 なんも押さえん状態で、ミ、ラ、レ、ソに合わせるんや」
一つずつ弾くと、カードの液晶にローマ字が出てくる。

「さっき言うたE、A、D、G言うんは、開放弦の音がミ、ラ、レ、ソやからそう呼ぶんや」
音を感知したチューナーには、きちんとそれぞれの音が表示されている。

「賢くなれた気がするっ」
「どういうことやねん」
「これからは『G(ゲー)線上のアリア』って呼ぶぞ」
「型から入るタイプやなぁ」
「それか『エール』って言う」
「『管弦楽組曲第3番ニ長調第二曲 エール』や」
「それは無理!」
「なんでやねん!」
「長すぎるっ」

なんやそれ、とケラケラと笑う侑士の声。

もうちょっと弾いて?と言う真珠のお強請りに、特別やで、と真珠も知っているであろうクラシックや練習しておいた歌謡曲を何曲か弾いた。

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