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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第35章 二人の音色


「校内選抜って、部外者でも観覧?応援?ってできる?」

自身を指差して言う真珠。

「ただの学内選抜やからギャラリーとかおらへんけど、入れる思うで」

保護者とか来るし、と手を繋いで大きな通りに出る。

「中等部ん時、先輩らの見に行ったけど、家族とか先生以外にも結構人おったから」
来る?と顔を覗き込む侑士。
「行きたいなぁ、と」
ちら。と上目使いになる真珠。

「顧問に聞いとくわ」
「ありがとう」

見れるといいなぁ、と笑顔を見せる真珠の頭を撫でる。

「用事、済んでもうたんやけど、なんやしたいことあるか?」
この辺なんがあるかな、と侑士。
「お散歩しようか」
「ええよ」

あそこお店変わったよね、など他愛もないことを話しながら、穏やかな日差しが射す街を歩く。

せや、と侑士は落ち着いた声を出す。

「オトンがな、8月のインターハイの日程に合わせて、一時帰国するらしぃわ」
「そうなんだ」
「それでな、マコトん事、姉ちゃんの友達やのぉて、俺の彼女としてちゃんとオトンに見せよか、と」

いややったらええんよ、とどこか恐る恐る、と言った様子の侑士に微笑みかける。

「ぜひ、よろしくお願いします」

楽しみにしてる、と笑って見上げる。

「家にするか店にするかは、マコトが気が楽な方にしたり、言われたんやけど、どっちがええ?」
「んー、最近、なんだかんだ忍足家に入り浸っているのでどちらでもいいんだけど」
「あと、姉ちゃん同席やけどええ?」
「私は、むしろ心強いですよ」

ならよかった、と微笑む侑士。
何着ていこう?と悩む真珠に、いつも通りでええよ、と休日で人の多い街並みを眺める。

「オトン、会うたことあるんやっけ?」
「一回だけね。
 もう、覚えていらっしゃらないかもしれないくらいに、一瞬」
「マコトは今でもわかるか?」
「うーん、なんとなく。
 でも、仮に街中で見かけても分からないかも」
えっとなぁ、と携帯を操作する侑士。

「こん前、オカンが向こう行った時の写真」
和美の隣にの男性に、侑士を見上げる。

「やっぱりお祖父様似」
「小さい時はオカン似や言われよったけど、最近はずっとどっちにも似とる言われる。
 オトンしか知らん人はオトン、オカンしか知らん人はオカン言うんや」
「いいとこ取りということで」

そうか?と侑士は、少し、カッコつけて見せた。

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