• テキストサイズ

She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第34章 目があっちゃダメよゲーム  



忍足家のリビンク。

パチ、と目を開いた真珠は、向かいで目を閉じている和美に、再び目を閉じる。

しばらく待ち、再びを目を開く。
今度は、ずっとそのまま和美を見つめる。

まぶたを上げた和美と目が合う。
そのままじっと見つめ合う。

「っん」
「はいっマコ、負け」

目線を逸らした真珠に、ママの勝ちー、と言う恵里奈。

「和美ママ、ずるいっ」
「何もしてないわ」

ニコニコと笑っている和美に、美人はずるいっ!と真珠は悔しさに身を捩る。

やろ、恵里奈は真珠の向かいに座る。

「10秒我慢だからね」
「ことごとく弱いんだけど」

言いつつ、真珠は目を瞑る。

テーブルの携帯でアラームをセットし、目を閉じたまま向かい合う恵里奈と真珠に、和美は、ふふ、と笑ってキッチンに入った。


うまいこと目を開けるタイミングがずれる二人は、玄関が開き、閉まる音と、ただいまー、という低い声に、互いに目を閉じたまま、おかえりー、と返した。

「なにしとんの?」

部活から帰ってきた侑士は、なんこれ?と向かい合う姉と恋人に、母へ疑問を問いかけた。

「『目が合っちゃだめよゲーム』」
「なんやそれ」

パチ、と目を開けた恵里奈は、横目に侑士を確認すると、再び目を閉じる。
少し置いて、再びを目を開けると、無言で手招く。

なんや、と言いかけた侑士を、人差し指を立てて黙らせると、早く、というように手招く。

音を立てないように立ち上がった恵里奈が、座っていた椅子に座らされると、真珠を見ろ、とジェスチャーで指示され、なんやのん、と目を閉じて頬杖をつく真珠を見つめる。

もっと近づけ、と背中を押され、上体を机に乗せるようにして真珠を眺める。

(あ、目んとこの色、この前ドラストで買うとったやつ)

発色が綺麗、と買っていた寒色系のアイシャドウに彩られた瞼に気づく。

(グロス付けとるん、珍しいな)

ツヤツヤとした唇が、少し動く。

しげしげと眺めていると、その瞼が開かれた。

「っふぁっ!?
 へっゆ、ゆう!?え?ゆう?
 えりなは...え?あ、そうだ!おかえりっ」

ただいま、と微笑んだ侑士に驚きつつも、一日、お疲れ様、と返した真珠。

和美と恵里奈は、あははっ!と大声で笑い、想像通りすぎるやろ、と侑士はくつくつと笑った。

 ✜
/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp