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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第33章 過去の人



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プラネタリウムに繋がる通路に施された天の川を模した展示を、キレイ、と見上げる真珠。

「『鵲橋』いうたかな。天の川に掛かる橋」
「え?天の川に橋があるの?」
渡れちゃうじゃん、と驚いた真珠に笑う。

「いつもあるわけちゃうで?
 年に1回だけは会えるよう、天帝がお情けかけてくれはるやろ?
 7月7日にだけ、天帝の使いのカササギが羽根を並べて天の川に橋を作るんや。
 やから『鵲橋』。
 二人は、カササギ飛んできたらもうすぐ会える合図やでいうことで、引き離されてからは仕事の合間に、時折、空を見上げてその時を待つんや」

知らなかった、と天の川と星々を見る真珠。

「年に1回、よぉやっと会えた恋人達に願いを叶えてもらおう言うんのも、お邪魔虫が過ぎるよな」

その七夕物語を描く頭上の展示を見て、そっと見守ったれよ、と言う侑士に、ふふ、と笑う真珠。

「ゆうって、たまにすごい方角から物事を見るよね」
「俺が彦星やったら、お願い事されたかて『今こっち忙しいねん!』て無視すんで」

ご尤も、と笑う真珠と通路を抜けた先の広いスペースで、人の動きを感知して星が広がる空間を見上げる。

「織姫はんと彦星といい、星座物語考えた人は、よほどのロマンチストやなぁ」
「わからないよ?
 受け継いで行かなきゃいけない知識や神話を、なかなか覚えられない子どものために、どうにか覚えさせようと、お母さんやお父さんが苦肉の末に考えたのが始まりかも」

真珠の見解に侑士が笑う。

「あり得そうやなぁ」
「それをどこかで聞いた恋人たちが、自分たちの物語になぞらえた星たちを探したのかもね」
「神話も伝説も案外そんなもんで、死んでしもた当人たちは、あの世で『ちゃうよ!それ、そういうことちゃうねん!』言うとるかもしれへんと思うと笑てまうな」
案外、黒歴史やったりして、と星々を散らしながら、奥の方へと向かう。

「聖徳太子の肖像画的な?」
「厩戸皇子、やったっけ?
 あれ、モデルんやった奴、気まずすぎるよな」
「そういえばさ、ケンタウロスって馬の4本足と人間の2本の腕で描かれてることが殆どだけど、そうなると、頭部、胸部、腹部があって手足合わせて6本だから、あれは六脚類の昆虫?クモの仲間?ってなってくるのよね」

投影された射手座のイラストを見上げた侑士は、確かになぁ、と唸った。

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