She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第33章 過去の人
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「恵里奈ぁ」
ふえーん、と泣きついてきた親友を、どうしたん?と抱き留める。
成人式用の髪飾りを一緒に探そう、と待ち合わせたカフェで、話聞くで?と慰める。
「ゆう、元カノいた」
「え?嘘やんっ」
いつ?とそんな影をちらりとも見せたことがない弟に、信じられん、と驚く。
「『付き合ったとカウントしていいのかわからない』彼女だそうです」
「はぁ?なんやそれ。
え?マコはなんでそん事知ったん?」
いとこくんとの会話で、と俯く真珠。
「この前、泊まった時に電話掛かってきて『また振られたんか?』って。
聞いたら、中二の時に数ヶ月だけ、ゆう曰く、『一応、彼女やった子』がいたんだって」
「一応てなんやねん」
私もそこ引っかかった、と俯く。
「『付き合ってる実感ない』って言われちゃって、キスもしないうちに別れちゃったらしいです。
ゆう曰く『体験入恋』だそうな」
「なんやそれっ!?」
変な言葉生み出すなっ!と恵里奈は声を上げる。
「それで、その、それ以来、この辺りがモヤァっと」
「そら、するわなぁ」
鳩尾をさする真珠に、恵里奈は心配そうにする。
「ほんと、自分の小ささに呆れる...」
しょげしょげとして行く真珠に、え?なんで?と恵里奈は驚く。
「嘘ついたゆうちゃんと元カノに対してやなくて?」
うーん、と考える真珠。
「嘘、と言うよりは、記憶の彼方に忘れ去っていたって感じだったし。
隠し事したらアカンな、って素直に話してくれたし、それは良いの!
むしろ、あんな子がなぜ今まで彼女がいなかったのか疑問だったから、なんなら安心要素なのっ
むしろ当時のこと聞きたい!
中学生の恋なんて可愛いじゃないっ!
けどさっそれって、どっかで私、元カノさんのこと見下してない?って気づいて」
嫌な女だぁっ!とテーブルに突っ伏した真珠。
「チョコクロと大阪ミックスジュース飲んだ気分」
冷コー買うてくるわ、と恵里奈は席を立つ。
「ちょっとぉ!?」
「はいはい。
うぶなしんじゅちゃんは大人しゅう待っときー」
ええ子やからなー、とカウンターに向かう恵里奈。
(マコトの純真さに、ゆうちゃんがかわいそうになってくるわ)
まあ、それもひっくるめて好きなんやろうけど、とどうしょうもない二人に、やれやれ、とため息をついた。
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