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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第33章 過去の人



 ✜

「不器用すぎない?」
「否定はせんどく」

初めて彼の口から聞いた唯一の交際歴に、変な感じ、と考える。

「向こうかて、ノーカンやろ」
「と、言うことはゆうの中ではノーカウントなの?」
「んー、『体験入恋』?」

新しい言葉だ、と笑う真珠。

「女の子の方は、どうだったんだろうね?」
「さぁなぁ。
 あん頃、何や知らんけど、テニス部全体が女ん子に告られまくっとったし。
 跡部は置いといて、あのジローにも彼女おったからな」
まあそういう年頃やったっちゅうことやろ、と侑士は言った。

「共学校ならでは、って感じ」
「そうか、女ん子だけやと無いわな」
無いこと無いけどね、と言った真珠に、ん?と聞き返す。

「女の子同士のカップルもいたよ?
 あと、こっそり先生と付き合ってたり」
こっそりだったか?あれ、という真珠。

「結構いたよ。
 先生、既婚者だった子もいたし」
「はぁ!?え、それ教職員としてええんか...?」
「バレバレだよねぇってみんな、気づいてた。
 だいたい、卒業とともに消滅するけどね」
「あかん、女子校の闇、知った気分や」
「闇って!
 他校はもちろん、友達のお兄さんとか中学の同級生とかで彼がいる子は多かったよ?」
「いや、先生はアウトやろっ!?
 女ん子カップルも衝撃っちゃ衝撃やけど...」

少し考えた侑士は、なあ、と真珠を見下ろす。

「女ん子に、告白されたこと、ある?」
「私はないなぁ。
 仲の良かった子は結構されてたけど。
 大学の同期で、女の子カップルいるよ」

(女子校やから、て、安心はできへんねや)

んー、と考え込む侑士の頬を撫でる。

「不安にさせちゃった?」
「そういうわけちゃうけど」
そこから続かない侑士に向き直り、えいっ、と額をぶつけ合う。

「ご心配なく。
 大好きですよ」
「ほな、証明してや」
ん、と目を閉じると、ゆっくりと唇を塞がれる。

輪郭に添えられた手に、後頭部の髪を指先に絡め取る。

「っ!」
どさ、と後方に押し倒され、上に乗る真珠が、ちゅ、ちゅ、と繰り返しキスをする。
腰に脚を掛けて引き寄せると、ぐるり、と体勢を入れ替えた。

背中に回った腕を確認して、ゆっくりとベッドに体を沈み込ませた。

 ✜
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