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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第32章 いとこと過去の経験



Pipipipi

テーブルで鳴ったのは、侑士の携帯だった。

ベッドの上に座る侑士の投げ出された脚の間に収まるようにして本を読んでいた真珠は、手にしていた本を置き、オーディオの音量を下げる。

しばらく侑士が画面を眺めていた携帯は、スン、と鳴り止む。

「あれ?よかったの?」
「どうしてもなら、また掛けてく...」
再び鳴った侑士の携帯。
しゃあないなぁ、と渋々、携帯を手に取って耳に当てた。

-侑士っ!お前、1回無視したなっ-
「耳元で叫ばんといてや、ケンヤ。
 わかっとるなら掛け直すなや」
-なんや、最近話してへんなぁ、思うて!
そろそろゆうちゃんは寂しがっとるちゃうかなぁ?と掛けたったんや-
「今やないねん。
 タイミング悪いやっちゃな」
-なんやねん!素直に喜べやっ-
「はいはい。おーきにねー」
-かけらも心が籠もっとらんやんけ!
あ、せやせや。侑士、おっちゃんと喧嘩したんやって?-
「してへんよ。喧嘩とちゃう」

片手に携帯を持ち、片手で真珠の髪を撫でながら、そうや、と言う。

「謙也、お前モテへんって嘆いとったやろ?」
-急になんやねん-
「いや、女ん子、紹介したろかと」
え?と見上げる真珠の唇に、しー、と人差し指を当てる。

「ドイツん女の子やねんけどな」
-怪しすぎるやろ
しかも、なしてドイツやねん-
「年上やけど、どうや?
 四天宝寺...やなかった。今、煌国やったっけ?
 男子校やろ?女ん子、いてへんよな」
-そやけど...なんがあってん?-
「いや、今度、氷帝に来るらしから、紹介したろかと」
-えー?怪しさ満点やーん。
ドイツん女ん子?-
「怪しいことあらへんよ。
 留学生や。日本、特に大阪、好きらしいで」
-そぉなんかっ!?
めっちゃ大阪、案内したるわっ-

満更でもなさそうな声に、にやり、とした侑士。

「東京、来ぃや。
 紹介したるから」
-...ちょお、待てや。なんや、怪しいんやけど-

そんな事あらへんよ、と笑顔を作る。

「大阪好きや言うてたから。
 ほら、俺もうこっち長いて、最近のそっちん事知らへんし」
-いつ来んねん?そろそろ試合も始まるさかい-
「秋やね」
-いっちゃん忙しい時やん。選抜と近体あるから、無理や-
「使えへんやつやな」
-どー言うことやねんっ!?-

ホンマ使えへん、と侑士は吐き捨てた。
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