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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第32章 いとこと過去の経験



「こんな感じなら、今の長さでもええんちゃう?」
「前髪、どうしよう」
「おろすと浴衣、あげると着物で感じせぇへん?」
「あ、わかる」
あげようかなぁ、と恵里奈と話しながら携帯でヘアカタログを流し見る真珠。

「派手髪系?」
「うーん、着物がおとなしいから、古典寄りにして、飾り多めにしようかな」

簪かお花か悩んでる、と言う真珠の手元を覗き込む侑士。

「こういうん、着物の髪型って感じやな」
項が見える位置で毛先をしまい込む髪型を指す。

「櫛も、大人っぽくていいよね」
「櫛と簪やったら、どっちがええん?」
そうだなぁ、と悩む真珠。
「シンプルに着たいなぁ、と思ってるから、髪飾りは少し派手めにしようかな。
 着物の色味、クリームに近いから、小物で髪の色との差を埋める感じで。そうなると、櫛かなぁ?」
簪って意外と目立たないもんな、と着物用の髪飾りの画像を見ていく。

「着物用の髪飾りにこだわらなくてもいいんじゃない?」
え?と真珠は和美の言葉に顔を上げた。

「今時、着物にレースも使うし、袴にブーツ履くのよ?
 振袖にティアラつけたってかわいいと思うわ」
「ちいちゃいクラウンとかも流行っとるもんね」
「ベレー帽も、はいからさんみたいでいいじゃない。
 レースは?こう、カチューシャみたいに編み込んでみたり」
編み込みもかわいい、と言う提案に、悩むなぁ、と真珠。

「ゆうちゃんは?成人式、袴着る?スーツにする?」
「俺、まだ4年あんで」
そんな悠長な、と和美は言う。
「お義母さん、ゆうちゃんの紋付用意するの、楽しみにしてるのよ」

今回、姉の振袖は母方の祖母が支度した。

「わざわざ仕立てるん?
 そない着ることないで」
「前撮りするでしょう?
 受験シーズンに入ったらそれどころじゃないんだから、今のうちよ」
「オトンの無いん?」

ダメよぉ、と和美は言う。

「結婚式の時、どうするの?
 瑛士さんは父親としてあの袴、着るんだから」
「そないな先のこと、」
「そうでもないんじゃない?ねえ、マコ?」
「私に聞く?」

そう恵里奈に言う真珠。

「だって、再来年の秋には結婚できるんだよ」

恵里奈の言葉に、ん?と指折り数え、ハッとした真珠。

「タイム・リミットが迫っている」
「「なんの/や?」」

こっちの話です、と真珠は目を背けた。

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