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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第31章 策略



 ✜

遠慮がちのノックに返事が無く、部屋の扉を開く。

カーテンが閉め切られた暗い部屋を覗き込む。

ゆう?と少し広く扉を開くと、ベッドに仰向けで倒れ込んでいる姿があった。

少し躊躇ったあと、扉を閉めて歩み寄る。

(寝てる?)
ベッドの直ぐ側に膝をつき、ゆう?と再度声をかけると、ゆっくりとこちらを向いた。

「マコト、」
「よかった。いつものゆうだ」

乾かした?と侑士の耳のあたりの毛先に触れる真珠の手を掴み、じっ、と見つめる。

「くっつきたい」

えっと、と悩む仕草を見せる手を引くと、恐る恐るベッドに乗り上がる。
ん、とめくった布団に、お邪魔します、と入ってきた真珠を抱き寄せた。

「喉とか頭とか、痛くない?」
「ん、大丈夫やで」

自宅のシャンプーの香りがする髪に鼻先を埋めると、心臓が強く脈打ち始める。

「真珠」
「はぁい」

少しだけ、と、布団の中で脚を撫でる。

咎められることは無く、サラサラとした肌の感触を確かめるように手を這わせたり、指先だけでつう、と触れたりする。

脹脛辺りをそっと指先で触れると、んっ、と真珠が声を漏らした。
顔を見ると、閉じられた瞼の睫毛がわずかに震えていた。

膝辺りから太腿の脇と裏、指先に下着のラインが触れると、さすがにその手を掴まれた。

フルフルと頭を振る真珠。

しゃあないなぁ、と、手を下ろす。

「風邪、治ったばっかりでしょう」
「アカンの?」
「また熱上がっちゃう」

今日は我慢、と額にキスをくれた真珠。

「キスはええの?」
それくらいなら、と言う頬を手で包み込み、鼻先に小さなキスを落とす。

「調子戻ったら、また、したい」
気持ちよかったから、と唇に触れるだけのキスを繰り返す。

「ほんと?」
「なんや、マコトはもうしたないか?」
淋しげに眉尻を下げる侑士に、そうじゃなくてっ!と慌てて否定する。
「私、ゆうに何もして、あげられなかったからっ」
だから、と俯いた顔を掬い上げる。

「そないなこと、あらへん」
いっぱいしてもろた、と微笑む。

「ギューてしてくれたやん」
こうやって、と抱き締めると、背中に腕が回る。
「名前、呼んでくれたやん」
「ゆう、し」

照れたように笑った侑士に、元気になってね、と真珠は両頬にキスをした。

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