She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第30章 姉と恋人
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「冷たいんで飲んだん、初めてや」
うまい、と柔らかな麹の粒を噛み締め、さらりとした甘酒を飲む。
「アミノ酸とビタミンBが豊富だから、体にいいんだよ。
疲労回復、免疫力向上。
今のゆうにぴったりだね」
飲み過ぎには注意。糖も多いから、と言われ、真珠がお見舞いに持ってきた甘酒をグラスの半分だけ、おかわりをする。
「酒粕か麹かでこないにちゃうんや」
こっちの方が好きやわ、と昔、姉の七五三参りで飲んだ甘酒を思い出す。
「おじいちゃんの蔵だと、栄養ドリンク代わりにみんな飲んでるの。
アルコール無いし、冷たくても美味しいから、スポーツする人にもいいのかもね」
和美ママに預けとくね、と残りの分の栓を締める真珠に、あと一杯だけ、とねだった。
横になってたら?と言う真珠に甘え、ベッドに入る。
「マコト」
来ぃや、と手招く。
ベッドの上に誘い、その膝に頭を乗せる。
「珍しい、ゆうが甘えるなんて」
「そうか?いつも甘えとるで」
きもち、と目を閉じる侑士の髪を撫でる。
チェック柄のボックススカートから伸びる脚に滑らせる手を、こら、と掴まれた。
「えっち」
「甘えさしてぇや」
「元気になったらね」
しかたない、と寝返った侑士の髪を撫でる。
時間を気にした真珠の腰に腕を回す。
「帰らんとって」
「寂しいの?」
「ん、」
ギュッ、と抱きつくと、背中を撫でられる。
「お熱、お熱、飛んでいけー」
「それ、『痛いの』やなかったか?」
うん、と言った真珠に、なんやそれ、と笑う。
「熱はもぉ無いで」
「あ、そっか」
じゃあ、と再び背中を撫でられる。
「だるいの、だるいの、飛んでいけー」
「ん、飛んでった」
よし、と起き上がろうとする侑士に、嘘でしょ?と真珠は焦る。
「寝てくださいっ!
寝れないなら帰るからっ」
「帰ったらあかんよ。
まだおって」
ダメや、と膝に戻ってきた。
「末っ子感、全開」
「末っ子やもん」
「甘えベタな振りして甘え上手だよね」
「マコトが甘やかすん、うまいんや」
「甘やかすのがうまいとかあるの?」
「なんや、甘えたなる」
頬を擦り寄せる仕草に、猫みたい、と顎下を擽る。
「んんぅっ!やめぇや、こしょばい」
手を払い除けて、丸くなって布団を抱え込む侑士に、本当に猫みたい、と真珠は猫を撫でるように侑士の頭を撫でた。
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