She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第4章 セカンドチャンス
「お揃いだから、掛けとく」
そう言って笑った真珠。
(かわええな)
そう思うと、無意識に手が伸びた。
「侑士くん?」
ぽん、と真珠の頭に乗る手。
(小っさい頭やのぉ)
ゆっくりと撫でると、手触りのいい髪質に驚く。
「ゆ、侑士くん?」
「サラッサラやね」
「そ、そう?」
ずっと触っていられる、と撫でていると、目線を上げた真珠が手を伸ばしてきた。
「わ、柔らかい」
猫毛だ、と侑士の髪を撫でる真珠。
「癖っ毛?」
ペルシャ猫撫でてるみたい、と言われ、固まる。
「す、すんませんっ」
「ふふ。だいじょうぶだよ。びっくりしたけど」
しもた、と手を離した侑士。
片方の髪を耳にかけると、す、と背筋を伸ばした。
「今日も、よろしくお願いします」
「こ、こちらこそ」
頭を上げた真珠と目が合うと、2人して吹き出す。
「なんか、恋愛リアリティショーのオープニングみたい」
「ああ、初対面で1日デートするやつ?」
そうそう、と笑う真珠。
「私でごめんね」
デート、と表現したことを否定されなかった侑士は、そないなこと言わんとって、と咄嗟に返した。
「そんなん言われたら、悲しいわ」
「ありがとう」
やっぱり、侑士くんは優しい、と柔らかく笑った。
「優しい男は、好きちゃう?」
「え?」
侑士を見上げ、そんな事ないですよ、と目線を逸らす。
本を鞄にしまった真珠。
「それ、借りてええ?」
自身の眼鏡を真珠に預け、借り受けた眼鏡を掛けてみる。
「あ、度、入ってんねや」
はい、と返そうと向き直ると、真珠も渡された侑士の眼鏡を掛けて辺りを見ていた。
「それ、度、入ってへんよ」
「だよね?」
ありがとう、と返された眼鏡を受け取り、眼鏡を返す。
「なんで眼鏡使うの?
テニスの時、煩わしくない?」
「裸眼見られるん、恥ずいねん」
「目を見られたくないってこと?」
パチリ、と合った目を、ごめんね、と逸らされた。
「なんちゅうか、見透かされとるような気になってまうんよ」
「それは、テニスのため?」
性格的なものやね、と返す。
「ごめんね、勝手なイメージで、スポーツする人が眼鏡かけてるのって珍しいな、と思って」
結構おるよ?と立ち上がって差し出した手。
侑士のその手と顔を見比べた真珠は、そうなんだね、と戸惑いつつ、その手を掴んで立ち上がった。
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