She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第29章 変化の始まり
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「機材はレンタルで、買うのはザラメと割り箸だけ?」
「調理室から借りれるもん、実行委員会から回答来たか?」
計画書とToDoリストを元に、調達班の進捗を確認する。
「なぁ侑士!」
「なんや?」
声を掛けてきた同じ調達班の向日に、横目に目線をよこす。
「一般公開日、マコトちゃん来んの?」
「あー、声は掛けとらん」
「呼ばねぇの?」
「まだ先やしな。
予定も立たへんやろ」
その会話を聞いた同じ班の同級生。
「『マコトちゃん』って姉ちゃん?」
「ちゃうよ」
「ゆーしの彼女っ!」
なー!と笑顔の向日の言葉に、無言で頷く。
「彼女...って、例の『脚のキレーなお姉さん』!?」
前に教室でそんなやりとりをしたような、と頷いた。
「てか、忍足の彼女って誰?」
「氷帝(ウチ)の人?」
「ちゃうよ」
同級生の問いに、それしか言わない侑士。
じーっと向けられる視線に、興味津々か、と資料から目を上げない。
「いつから付き合ってんだっけ?」
「今年ん春やね」
めっちゃ最近!と言われ、まだそないに長ないよ、と手元の電卓を叩く。
「向日は知ってんのか?忍足の彼女サン」
椅子の座面を跨ぎ、背もたれに腕を預けるアメフト部員のクラスメイトに、知ってんよ、と、侑士の机に軽く腰掛けてガムを膨らませる。
「おねーさんって言っても、短大生だぜ」
「「「つまりは女子大生っ!」」」
うるさ、と眉を顰める侑士。
「ゆーしの姉ちゃんの友達だっけ?」
「まあ、そうやね」
「女子大生って、お前っ!」
「いやらしっ!」
「なんでやねん!
なんもやらしないわっ」
「いや、やらしいって!存在がっ」
「どいういうことやねんっ」
ヘンな妄想しとらんと仕事せぇ!と計算書と電卓を突きつける。
「ほれ、検算!」
「え?ねえ、ヤッた?」
「お前なぁ」
呆れ声で溜息をつく侑士。
「その顔どっち?」
「黙秘権」
ふいっ、と顔を反らす。
「ヤッたと思う奴ー?」
手を挙げろー、という掛け声に、はーい、と手を挙げる数名。
「童貞であってほしい奴ー?」
はーい!とその他が手を挙げる。
「おいっ!」
「女子大生の彼女持ちで『済み』って腹立つっ」
「自分、関係あらへんやろ」
呆れんで、と机に腕を乗せ、はよ検算せぇ、と追い払うように手を振った。
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