She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第27章 嵐の前触れ
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いいと思うよ〜、と企画書に了承した海外交流委員の同級生。
「ここまで作り込んだものが来ると思わなかった〜」
ほぼ完成形〜、とタブレットを返される。
「実際向こうに送るやつは、今、ドイツ語のALTにチェックしてもろうてる。
オッケー出たら、跡部んチェック受けて校長の決裁もろて、向こうにメールで送る予定や」
了解〜、と返事。
「おっしーさぁ〜」
「ちょお待って。
最近、えらいその呼び方されるんやけど、いつの間に浸透しとるん?」
女テニやない子にも呼ばれる、と言う侑士。
「いやなの〜?」
「嫌ちゃうけど、なんでやろか、と」
「あれじゃない〜?」
そう言って侑士を見た。
「扉が開いてる〜」
わからへんよ、と侑士は苦笑を浮かべた。
「中等部の時は〜『そっち』側と『こっち』側の線がめちゃめちゃはっきりしてた〜」
隣り合って座る座席の間に線を引いた彼女。
「忍足のそっち側に『行ける』人間と『行けない』人間」
いや、と言う。
「『行った』人間か〜」
なんがちゃうんや、と問う。
「忍足は受け入れたつもりはないのに、そっち側に入り込んでいった連中がいる」
テニス部員中心に、と自分が引いた空想の線をなぞる彼女。
「で、このラインのこっち側とそっち側があって、最近、こっち側の対応が変わった〜」
侑士から離れた彼女に近い方を、ぐるっと囲った。
「一部女子の推理に寄ると、『外部に彼女ができた』のが、原因〜」
ちなみにそれは先日答え合わせされた〜、と言われ、バスの女性が誰だ、と詰められたあれか、と思い当たる。
「たぶん、今まで忍足にとって『こっち』側は特に意味がなかった。
だけど、『こっち側』だった人が彼女になったから、『こっち側』の扱いが変わった」
ここからは私の憶測、と続ける。
「あんさ、年上でしょ〜?彼女サン」
「なしてわかったん」
「勘と推理〜」
「女ん子ってこわいわ」
「慄け、オスどもぉ」
オスて、と小さく笑う。
「だから最近すぐ告られんだよ〜」
「っなして、」
「あるある〜。
モテ男に彼女できたらとりあえず告っとくっていう〜」
「モテた記憶、無いんやけど」
俺、人気ある?とふざけてみせると、あるんじゃな〜い?と軽い返事。
「卒業式、もらいまくってたじゃ〜ん?」
「あれ、お返し、大変やってん」
「そーゆーとこだよ、忍足さーん」
✜
