She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第27章 嵐の前触れ
氷帝学園 高等部校舎 パソコンルーム。
正面の大きなモニターで行われていた事前交流会のプログラムが終わり、各委員が座る席のモニターに注目する。
-はじめましてっ
私はテレサ・ロールシャッハ-
WEB会議形式のファーストコンタクトコミュニケーションで、はじめまして、と隣の女生徒委員の挨拶と自己紹介に倣って話す。
「-忍足 侑士です-」
-ユーシね!よろしく-
ウェーブのかかった見事な金髪と、グリーンが混じるヘーゼルの瞳の少女が笑う。
女子委員を主に、助言や補助を主体にやりとりしていた。
-ねえ、ユーシ-
「-なに?-」
少し砕けて話せるようになった頃、画面のテレサは侑士を見た。
-あなた、少しイントネーションが独特ね-
ああ、それと笑う。
「-日本でも、東京より訛りがある地域で長く生活しとったさかい...-」
-どこなの?-
「-大阪-」
オーサカッ、とテレサの表情が明るくなった。
-モーカリマッカーッ?ね?-
うまいうまい、となかなか流暢な関西弁に頷く。
「ぼちぼちでんなぁ」
-あとは、そう!-
嬉しそうに笑い、キャスター椅子を遠く引いて立ち上がるテレサ。
-なんでやねんっ!-
こう!と手を払うツッコミをする。
「-お笑い、好きなん?-」
-ムッチャ好キヤネン!-
N◯Kサイコー!と騒ぐテレサ。
明るい子なんやぁ、と、日本に興味を持ったきっかけがお笑いだと話すテレサとのファーストコンタクトは、スムーズに進んだ。
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「お笑い好きって言ってたから、大阪出身の忍足と話し、盛り上がりそうだね〜」
そう詳しいわけちゃうけど、とチャットが終わったパソコンの前で、委員の女生徒とプランを見直す。
「『お笑い』も、一種の日本文化でしょ〜
大阪まで行くのは厳しいけど、都内で芸人さんのステージ見れるところ、無いかな〜?」
「ええかもしれんね」
練り直すか、と企画書の『歌舞伎 鑑賞』を縦線で消し、『お笑い 劇場?』と書き込んだ。
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