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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第27章 嵐の前触れ



 ✜

低い声で唸る侑士に、お悩みごと?と聞く真珠。

「宿題、難しい?」
「宿題っちゅうわけちゃうんやけど」

個人情報があるわけやないし、とブルーグレーのケースが付いたタブレットを手に、私室でラグにぺたりと座って本を読んでいた真珠の隣にピタリと座る。

「氷高祭ん時、留学生来んねん」
「どこから?」
ドイツや、とタブレットの脇を指先で叩く。
「事前資料で、委員のプロフィールを送るんやけど、なに書いたらええんかと」
フォーマット無いの?と首を傾げる真珠に、あるにはある、とまだ白紙のそれを見せる。

「エントリーシートみたいね」
「『エントリーシート』?」

A4サイズに引かれた線。
上部1/3あたりに、写真貼付け枠と氏名、クラス記入欄。
あとは罫線のみ、というフォーマットに真珠はそう言った。

「就活の時に使う、簡易版の履歴書みたいなやつなんだけど」
そう言って携帯を操作すると、これ、と見せる。

「泉深が学生向けに提示してるフォーマットなんだけど、任意様式で、ってエントリーシートの指定してない企業には、まずこれを書いて出すの」
すでに記入がされているそれに、見せて、と顔を近づける。

「『CV』って所が、履歴書で言うところの学歴職歴かな?」
侑士のフォーマットの中で、広く取られている枠の上を指す。
「そこから埋まらへん」
なに書いたらええんや、と髪を掻く侑士に、そうねぇ、と考える。

「ドイツから来る同級生に見てもらうんだよね」
「せやね」
「じゃあ、何か話の話題になることがいいかな。
 読んだ相手が、ゆうに『聞いてみたいな』と思える内容とか」
「話題になるようなこと...」
なんかあるかぁ?と余計に悩む。

いっぱいあるじゃん、と真珠は指折り言う。

「ほら、中学の時、体験入学と卒旅でドイツに行ってたよね。
 日本に興味がある子なら、日本各地の小学校に通った事とかも話題になるかも」

なるほど、と侑士は、経歴をドイツ語で打ち込んでいく。

「ドイツなら、ルクセンブルクにいたことがあるよって知ってたら、何か共通の話題が見つかるかも」

その頃の経験とかどう?と真珠が提案する内容を整理した。

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