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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第26章 アナタノコエ



 ♪赤いコンバーチブルから
  ドアを開けずに飛び降りて

姉から聞いていたマコトがよく歌う、という昭和から平成初期の曲を探す。

(普通にうまいやん)
アイドル曲向きの声やんな、と真珠の歌声に耳を傾ける。

 ♪なんてたってアイドル

歌い終わった真珠と目が合い、ニコリ、と笑う。

「熱い〜」
ひゃあ、と手で顔を扇ぐ真珠。

「声、かわええね」
「え?」
きょとん、と見る丸い瞳。

「電話する時も思っとったけど、マコトん声、かわええ」

声だけちゃうけど、と言うと、あり、がとう...と俯く真珠。

「照れてるん?」
「だ、だって、突然言うからっ」
恥ずかしそうに慌てる姿に、少しのイタズラ心が湧く。

「マコトは、いつでもかわええやん」
恥ずかしそうに笑う頬が少し赤い。
「照れたり笑うたり、ちょい、早とちりなとこもかわええし」
「もういいよっ」

歌いましょう!とマイクを握り込む真珠にクスクスと笑う。

 ✜

「あと一曲は、もうちょい考えるわ」
「?わかった」

真珠の好きなんでええよ、と機器を渡すと、あのね、と上目遣い。

「一緒に歌うのはなし?」
おねがーい、と手を合わせる真珠。

「一曲だけでいいから!」
「そん目、ズルいで」

なんがええの?と一緒に機器をのぞき込む。
これは?と見せられた曲名。

「♪二人を繋ぐあのメロディー、か」
「そう!」

ええよ、とマイクを取ると、やった!と嬉しそうに予約を入れる。

「一緒に歌える曲ないかなぁ、って思ってて。
 ゆう、声低いから、これなら歌いやすいかな、と思ったんだけど...」
「他ん曲でも、音、落とせば出ぇへん事無いけど...」

さすがに女性ボーカルのやつは無理、と表示される歌詞を見る。
「俺からやん」
ふふ、と笑う真珠。
わざとやんな、と侑士は、流れ出したイントロに息を吸う。

 ♪遠くを見る目に 風が映る

(上手だなぁ)

もう少し慣れたら、もっと歌ってくれるかな?と女性に振り分けられたパートにマイクを持った。

サビの入りのフレーズで綺麗にハモり、歌いながら笑い合った。

 ✜

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