She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第25章 キミノコエ
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「ドアホっ!」
ステージ脇で叫ぶ侑士に、諦めろ、と岳人が肩を叩いた。
「おい、跡部のあれ、本気か?」
うつらうつらしている芥川を連れてステージ脇にやってきたのは宍戸。
「突然、『ステージ脇に集合だ』とかメッセージ送ってきたと思ったら」
まさか、とステージで一人照らされている跡部を見る。
「跡部がああ言ってんだから、本気じゃね?」
「俺は、出ぇへんぞっ」
絶対に!と離れていく侑士を、そんなに?と振り返る宍戸。
「宍戸、宍戸」
来い来い、と手招かれ、なんだよ、と向日に寄る。
「実はさ、マコトちゃん、客席にいるっぽいんだよ」
侑士の姉ちゃんと、と聞いた宍戸は、マジかよ、と侑士を振り返る。
「あいつ、なにしてんだ?」
舞台袖の奥に入り込み、いそいそとなにかを漁っている侑士。
「あ」
「隠れたっ」
もぞもぞとなにかに包まって身を小さくすると、機材類の間に潜り込もうとしている。
「おいっ忍足!ズルイぞっ」
俺も入れろっ、と布地を引っ張る宍戸。
「おいっ!お前ら」
そこに掛かった声に、げ、と侑士と宍戸が振り向く。
「出番だ」
行くぞっ、と言う跡部。
「俺、パス」
「俺もー」
「あーん?」
つーん。として背を向ける二人。
「おわっ!」
脇から抱え上げられた侑士は、驚いて見上げる。
「樺地っ!?
なしてここにおんねんっ」
お前、中等部やろ!と言う言葉に返ってきたのは、うす、と言う一言だけ。
「行くぞっ!」
「いいじゃん、いいじゃん!
カラオケと同じだって〜。行くぞっ宍戸っ」
「本気かよ...」
3人の後ろを黙ってついていく樺地に抱えられ、勘弁してや〜、と項垂れる侑士の声だけが袖に残された。
「樺地、下ろしてや」
無言の彼に、溜息をつく。
「跡部に『逃がすな』言われてるんやな。
わかった、逃げへんから。
抱えられて登壇するなら、自分の足で登壇するよて」
「樺地、降ろしてやれ」
「うす」
ようやく降ろされた侑士は、俺、信用なさすぎひん?と制服を整えた。
「ふぁあ〜、あれ?合唱コン、終わったのー?」
俺、歌ったっけ〜?と寝ぼけ声の芥川を、お前先行けっ!と押し出される宍戸。
「なになにー?」
照らされたステージに立たされた芥川は、ただ、欠伸をして、なんだっけ?と寝ぼけ続けた。
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