She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第25章 キミノコエ
ステージには、ピアノに加えて、ドラムがセッティングしてある。
5名の生徒が登壇する。
ひとりがドラムに座り、ギター、ベースを抱えて2人がスタンドマイク前に立った。
ドラムのスティックで取られたタイミング。
ライトも演出も加えたライブ形式の演奏に、手拍子が起こる。
前方の客席出入り口が開くと、チア衣装の生徒が元気に駆け込んできた。
「軽音部とチア部かな」
座席で手拍子をしている真珠。
「テニス部、なんかせぇへんのかな?」
恵里奈の言葉に、なんでよ、と笑う。
「運動部が楽器演奏?」
「ゆうちゃん、バイオリン弾けるで?」
「やると思う?」
「やるわけないわなぁ」
合唱曲とは違う、ポップな音楽に合わせて踊るチアリーダーたちに、かわいい、と真珠は微笑んだ。
「「「「「ありがとうございましたっ!」」」」」
沸き起こった拍手に、ぽんぽんを振りながら帰っていくチアリーダーたち。
ステージに残ったバンドたちが、次の演奏を始めた。
センターに立つボーカルの女生徒は、コンクールでもソロを担当していた生徒だ。
「今時の子は、みんな歌が上手だねぇ」
「いや、マコも充分『今時の子』やろ」
どこのおばちゃん?と言われ、あはは、と笑う。
「ものすごく偏ったイメージなんだけど、軽音部って不良っぽいっていうか、ちょっと尖った子が多いイメージだったんだけど、そんな事無いのね」
「そう?
軽音部言うたら、楽器オタクのイメージやったわ」
フェンダーやギブソンや、とか、と言う恵里奈。
「そう言えば、今度ゆうがヴァイオリン弾いてくれるんだった」
楽しみ、と微笑む真珠。
「レッスンやめたんに、最近も弾いてるんは、そう言う事やったんやね」
「リクエストしていいって言ってくれたから『マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン』、おねだり中なの」
「ああ、なるほどね。
クラシックやない曲なん珍しなぁ、とは思っとったんよ」
練習してくれてるんだ、と嬉しそうに笑った真珠。
軽音部の演奏が終わり、NEXT STAGE の文字が浮かび上がる。
「ダンス部とかかな」
「演劇部もあるしねぇ」
なにかな?と照らされたステージには、マイク片手に跡部が仁王立ちしていた。
「続いては、俺たちテニス部からのスペシャルステージだっ」
わあっ、と盛り上がった生徒たちに、なぜ?と真珠は困惑の表情を浮かべた。
