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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第25章 キミノコエ


「OGさんですか?」

にこやかな学生に、いえ、と言いかけた真珠の声は、そう!と答えた恵里奈にかき消された。

「恩師に会いに来たんやけどねぇ」

人のいる気配の少ない学校を振り返る恵里奈。

「今日は、先生方も生徒も、みんなチャペルに集まってますよ」
「チャペル?」

あちらです、と指差す。

「もう少しで開会式なので、どうぞ会場にお集まりください」

それでは、とそちらに向かう生徒を、ありがとうございました、と見送った。

「恵里奈」
「マコ」
「「絶対に『合コン』ではない/ないな」」
うん。と向かい合って頷き合う。

「じゃあ、なんやろ?
 手帳に書いてあってんで?『合コン』て」

なんなん?と首を傾げる恵里奈に、合コン、ゴウコン、と目線を下げて繰り返す真珠。

「アウコン、アイコン...ごう...ガッコン」

ん?と顔を上げる。

聞いていた恵里奈と顔を見合わせた。

「「合(ガッ)コン!」」

互いに頷く。

「「合唱コンクール!/や!」」
『合コン』じゃない!とわかると、2人して吹き出した。

「恵里奈、早とちり!」
「待って!私、悪ないって!
 『合唱コンクール』を普通『合コン』て略すか!?
 『合唱コン』やろっ!」
「『唱』を書き忘れたんじゃない?
 それか、ゆうは『ガッコン』って書いたつもりだったか」

おかしすぎる、と笑う真珠。

そういえば、と先日の動画を思い出す。

「あれ、練習の動画だったんだ!」

あれ?と聞く恵里奈。
同期に見せてもらった動画のことを話すと、私、岳人君のアカウント、フォローしてるよ、と携帯を取り出す。

「あ、これ!」
真珠が指差した動画を再生する。

「ゆうちゃんだ」
「『勝手に撮られた』って言ってたの、これね」

ゆう、歌上手、と動画の音楽を口遊む真珠。

ふむ、と考えた恵里奈が顔を上げる。

「乗り込もう」
「え?なんで?」

ただの学校行事、と真珠は瞬く。

「私に勘違いさせたゆうちゃんが悪い!」
「責任転嫁も甚だしい」
「やってほんまにビビってん!
 ゆうちゃんとマコ、別れてまうんやないかって!」
「もう解決したら、いいじゃない」
「いや!ゆうちゃんに一言言ってやりたいっ」
「だから、ゆうはなにも悪くないって」

帰ろ?と言う真珠の手を引き、チャペルは向こうやんな、と恵里奈は大股に歩き出した。

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