She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第25章 キミノコエ
泉深女子短期大学。
講義の合間の時間。
講義室で話していた同期の一人が、待って、と会話を止めた。
「ごめんっ!ちょっと録らせて」
そう言って、講義室の端の席で、携帯をセッティングした。
「リサ、あれ、めっちゃハマってるね」
「なんだっけ?
通知が来たら5分以内に動画投稿だっけ?」
「2分だよ」
友人たちの会話に、たった2分?と驚く。
お待たせ、と戻ってきた同期の友人。
「大変そうね」
そう言う真珠に、全然!と笑顔のリサ。
「おもしろいよ?
じゅじゅもやる?」
「私、なに録ろう?で2分経過しちゃう」
「何でも良いんだよっ」
こんな感じ!と見せる画面を、どれどれ、と友人たちと覗く。
「えっ」
くるくると変わる動画に、待って!と声を上げた真珠。
なに?と聞かれ、さっきの、と言う。
「どれ?」
再生した動画を戻していくリサに、ストップ、と言った。
「へぇ、男子高校生もやるんだ」
「どこの子だろ?」
白シャツだからわかんないね、と制服らしき揃いの白シャツで歌う二人組の男の子に、驚く。
「ゆう...ガクト君...」
え?と向けられる視線。
「知ってんの?」
「えっと、その」
こっちの人、と画面向かって左に立つ侑士を示す。
「彼、と、そのクラスメイト」
「うっそ!?」
「どっち!ねぇ、どっち!?」
眼鏡かけてる子、と言った真珠に、待てよ待てよ!と三人は画面を見る。
投稿者のアカウント名は『楽人』。
「らくと?がくと?」
「『ガクト』君だと思う。
ゆう、彼のこと、『ガクト』って呼んでるから」
「てことは、彼氏くんじゃなくて友達君のアカウントかな?」
「こういうの、するタイプじゃないと思う」
侑士がSNSをするイメージが無い、と真珠は言う。
短いフレーズを歌ったあと、そそくさと画角外に抜けた。
(岳人君に誘われて、断り切れなかったのかな)
低い侑士の声は真珠の耳にはっきりと聞こえており、上手だったな、ともう少し聞きたかった、と見つめる顔が恥ずかしそうに見えて、こういうの照れちゃうタイプだよね、と密かに笑った。
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