• テキストサイズ

She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第24章 家訓:人の為在れ


さっきの話だけど、と言う恵里奈。

「家訓がどうとか」
うん、と彼女を見る。

「おじいちゃん、パパの方のね、がよく言ってたのは、『人の為在れ』」
「『人の為在れ』」
「私、『恵里奈』って書くじゃない?」

空に指で書く。

「『恵』は、人に恵を与える。
 『里』は人が集まる場所。
 『奈』って、林檎とか梨とかの総称って意味があって、ほら、聖書でアダムとイヴが食べた『知恵の実』って、林檎で描かれること多いでしょ?」
「そういえば」
「アダムとイヴが禁断の果実を食べなければ、人間は繁栄しなかったかも知れない。
 人に与えつつ、集まる場所にもなって、知恵も与えなさいという名前なのよ」

欲張りでしょう?と笑う恵里奈。

「ゆうちゃんの『侑士』もそう。
 『侑』は、人の為になる優しさ。
 戦う武士は、君主の役に立つことが手柄になるわけでしょう?
 全部ひっくるめて、『人の役に立て』ってのが由来にあるみたいよ?」
だから強いて言えばそれが家訓?と言う。

「『人の為在れ』か」
考えている様子の真珠。

「うちのパパ、えいじさんなのね。
 王へんにイギリスの『瑛』。
 『し』はゆうちゃんの『士』と一緒」
うん、と頷く真珠。

「真珠なら、どんな名前、つける?」
「え?」
突然だなぁ、と悩む真珠。

「例えばの話っ!
 どんな名前が良い?」
「んー、女の子だったら、花の名前とか」
さくらちゃんとかゆりちゃんとか?と言う真珠。

「男の子、難しいなぁ」
そうだなぁ、と思案している顔を凝視する恵里奈。

「『あらし』とか」
「『あらし』って『嵐』?」
机に指で書き記す真珠。

「『嵐士』。
 吹きすさぶ山風の中でも、武士のように強く立つ人であれ、とか」
「マコ、名付けのセンス、あるよ」
「そう?ありがとう」
「私、子供産まれたらマコに名前つけてもらう」
「旦那さんの意見は無視なの?」

責任重大だなあ、と真珠は笑った。

 ✜
/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp