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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第24章 家訓:人の為在れ



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「忍足家の家訓は?」

はい、と真珠から向けられた空想マイクに、なんだろう?と恵里奈は首を傾げた。

「聞いたこと無い」
「二人はどういう育児で育てられたのかなあっと思いまして」
「え、なに?
 ゆうちゃん、なんかやらかした?」
そう言えば、少し前に両親に挨拶したとか言ってたな、と思い出した恵里奈。

「おっちゃんに勧められて、お酒飲んじゃったとか?」
「とんでもない。
 嫌な思いをさせずにきちんとお断りして、酔っぱらいの相手してくれました」

お酌までしてくれた、と彼の無実を告げる。

「結婚とかの話が出る前に、どこかのお嬢様に明け渡しておくべきかと」
「やめてっ私、新郎姉と新婦友人のスピーチ、用意しとるんよ?」
「いやっ気が早すぎるっ
 ゆうが結婚できるまで、まだ2年あるしっ」
「マコが言い出したのに」
そうでした、と溜息。

「なに?別れたいとか?」
「そんなんじゃないっ」

即答に、よかった、と恵里奈は笑った。

「むしろ、ゆうに非の打ち所がなさすぎてこのままで良いのかと」
「えー、そう?
 無難なだけじゃない?」
無難?と聞き返す。

「あん子、もともと計算高い子やから、自分が周りに何を求められてるんかを見極めながら立ち回るくせ、あるんよ」
「そう、かな?」
「恋も、経験無いくせに映画とか本で知識だけ得てもうてるから、下手な子と付き合ったら、破滅するタイプやん」

さすがお姉ちゃん、と恵里奈による分析に耳を傾ける。

「マコやったら『頑張らんでええ場所』なるんちゃうかなぁ、と思ったんやけど、予想以上に浮かれポンチでこっちがビビる」
「う、浮かれポンチ...?」
浮かれポンチよ、と頷く恵里奈。

「『マコト、これ好きやろか?』
 『マコトやったら、どれがええ言うかな』
 『マコト』『マコト』...
 ゆうちゃん、最近口開いたらすぐ『マコト』やん。
 メッセすぐ見るし、携帯見てニヤニヤしとるから、わかりやすい、わかりやすい」
「なんか、意外」

でもちょっと嬉しいかも、と言う真珠に、いいなぁ、と恵里奈は言う。

「彼氏さん、作らないの?」
「聞こえなーい!彼氏持ちの言葉は聞こえなーい!」

耳を塞ぐ恵里奈に、真珠はクスクスと笑った。

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