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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第22章 未来想像図



ゆう!と呼ばれた声に手を振る。

「いい匂い!」
焼き立て?と侑士が手に提げているランチバッグを覗き込む。
「バスん中で、チビに『いい匂いがする〜!』言われてん」
「あははっ!飯テロだっ」
言っちゃうのわかる、と真珠。

「飲みもん、無いんよ」
なんや買う?と聞くと 、ふふー!と真珠が紙袋を差し出す。

「カプチーノとカフェモカだけど良い?」
「珍しな。紅茶やないん?」
いつも紅茶やのに、と紙袋をランチバッグと共に持つ。
「なんとなくコーヒーが合うかなぁ、と思って」
おしゃれな感じするでしょ?と空く手の方に並ぶ真珠の手を取る。

「次はマコトが弁当、作ってや」
「えー?先にゆうのレベルお出しされて作れないよ」
「別に凝ったもん、作てへんやろ」
「生地からベーグル作ってなに言うかっ」
「おにぎりでええんよ。
 マコトが作るんやったら」

やから、と少し甘えたような目をする侑士に、ずるいっ!と顔を逸らす。

「最近、弄ばれてる気がするっ」
「お互いさまやで」

手を引かれて向かった公園のピクニックスペースに場所を取る。


「お天気良くてよかった」
「ほんまやね」
「どっちがいい?」
そう言って真珠がカップを差し出す。
「なんがちゃうん?」
「モカはね、エスプレッソにミルクとチョコレートシロップで甘いの。
 カプチーノはエスプレッソとミルクで甘くないけど、お砂糖あるよ」

カプチーノのカップを受け取り、ランチボックスを開く。

「わぁ!」

プレーンとごまのベーグル。
スクランブルエッグ、きんぴらごぼう、焼いたソーセージ。
ココットには、ブルーベリーといちごのジャム、ヨーグルト。

「クリームチーズなかったさかい、代わりに水切りしたヨーグルトにしてん」
「どっちもおいしいやつやん」

関西弁うつっとるで、と笑う侑士からプラスチックのカトラリーを受け取る。

侑士がボックスから取り出したのは折りたたみナイフ。

手持ちで器用にベーグルを切り分ける手つきを、真珠はじっ、と見つめた。

「好きなんからええよ」

切り分けられたベーグルに、頂きます、と手を合わせて、えっと、と悩んだ末にごま入りをひと欠片手に取った。

「おすすめは?」
「好きに食うてええよ」

そう言われてしまうとさぁ、と必死こいて悩んでいる真珠に、くすり、と笑ってカプチーノを飲んだ。

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