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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第22章 未来想像図


一回目の発酵が済んだ生地を打ち粉をした板の上に出し、ガス抜きをする。

太く、長く伸ばすと、端と端を付けて丸く成形した。

6つできたそれらに硬く絞った布巾を被せ、水切りしていたヨーグルトの様子を見る。
少しスプーンで掬ったそれを咥え、もうちょいやんな、と今度は布巾で包んだそれに少し重みのあるグラスを乗せる。

皿にあげたきんぴらごぼうを味見する。

(もうちょい濃くてもよかったやろか?)

程よい味に、サンドにするならもう少し醤油を入れても良かったかも知れない、と考える。
「ごま、」
作業台にあるそれを見て、ふむ、と考える。

鍋にお湯を沸かし、オーブンの鉄板にクッキングシートを敷く。
沸いたお湯に生地を入れ、茹で上がったそれをクッキングシートの上に置く。

半分にはごまを散らし、温めたオーブンへ。

音楽を流していた携帯に着信。

『真珠』の表示に、スピーカーにして応対する。

-ゆう?-
「どないしてん」
調理器具を洗いながら、真珠の声に耳を傾ける。
-なにしてたかな?と思って-
「強力粉、捏ねくり回しよった」
-え?-
どういう事?と笑いを含んだ声。

-今、図書館に来てて、もし、ゆうが時間あるなら会いたいなぁ、と思って架けたんだけど、強力粉さんと忙しそうね?-
「ええよ。強力粉、捏ねられて焼かれよるし」
-ごめん、ややこしくしちゃった。
本当に何してるの?-
「ベーグル、作りよった」
ああ、そういうこと、と合点がいった声に、昼食った?とオーブンを覗いた。

-ううん。お暇なら一緒にどうかな、と-
「そうやったん。
 あ、したら...そやね、」
10分焼いて、と先の作業時間を計算する。

「一時間後に、図書館で落ち合おか」
-はーい-

嬉しそうな返事に、自然と微笑む。

「ヨーグルト、ブルーベリージャム、いちごジャム。
 スクランブルエッグ、ごぼう、焼いたソーセージ。
 食えへんの、ある?」
-全部、大好き!-

そらよかった、と食器棚から手頃なサイズのランチボックスを漁る。

「期待せんと、待っとってや」
-じゃあ、期待じゃなくて楽しみに待ってる-

ふふ、と笑う声に、後でね、とランチボックス作りに取り掛かった。

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