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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第21章 たぶん、友達



 ✜

侑士は、飲みかけた炭酸飲料を吹きそうになった。

「自分、ほんまか?」
「ほんま。
 見るか?」

そう言って、青凪が向けてきた携帯の画面には、彼と真珠より年上とわかる女性。

「いくつ言うたっけ?」
「26。次の誕生日で27やねん」
「十違うんや」

へえ、と意外すぎる青凪の恋人の存在に驚く。

「同級とかさ、1、2こちゃうってやつらはおるけど、5つ以上離れとるって、中々おらへんのよね」
10も違うとなおおらへん、と携帯の写真を見つめる青凪。

「侑士とマコトは、なにで出会ってん?」
「元々は、俺の姉ちゃんの塾友やん」
「姉貴おるんや」

意外、と笑った青凪。

「そっちこそ、何がきっかけやねん」
「学校やで」

あんな、と青凪は、手中のエナジードリンクの缶を弄ぶ。

「東山...俺の通っとる高校、3年前まで女子校やってん。
 共学んなるなって、男子生徒のスポーツ推薦枠作るってなって、俺、それで東山入ったんや」

それでなぜ10歳も年上の人と、と侑士は炭酸飲料を飲んだ。

「彼女、教員免許持ってんねん。
 小学校、中学の公民、高校の現代文の免許取るんに、卒業した東山に実習に来とったんや。
 そん時、テニス部の顧問が現代文の担当で、部活にも顔出しとってん」
「現役高校生と教育実習生の恋なんか、映画の話やん」
「結構おるらしいで。
 まあ、大概は男の実習生と女生徒の組み合わせらしけど」

逆やんな、と青凪はプルタブを上げた。

「先生なんか、ウザったいおっちゃん先生かオカンみたいなおばちゃん先生しか当たったことないさかい、もう、めっちゃ可愛てなぁ」

確かに、先ほどの写真の彼女は可愛らしい人だった。

「高校教員言うより、保育士さんみたいやったけどな」
「まあ、子どもおるから」
「待ちや。情報量多すぎや」
オカンなん?と確認する。
「小一のジャリ、おんねん。
 その子のオトン、旦那やってんけど、事故で亡くしとんねん」
「想像の百倍くらい重い話になってきたで」
なんも重ないよ、と青凪は笑う。

「みすず、あ、彼女ん名前な。
 子どもん父親、妊娠したから結婚しよか、て話しとった時に、事故で死んでもうてんて。
 おもろい人やで。
 『たぶん、あの人も子どももてなったら、私が耐えきらんとペシャッてまうから、自分で身ぃ引いたんやろ』って言うねん」

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