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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第21章 たぶん、友達



 ✜

ごちそうさまです、と空にした食器に箸を置いて手を合わせる侑士。

「置いてていいからねぇ」

けど、と腰を上げていた侑士は、手元の食器を手に取る。

「いいの、いいの。
 ありがとう、たくさん食べてくれて」
ごちそーさん!と箸を置いた青凪。
「セナちゃんもね。
 真珠、みんなにお茶、淹れてあげて」
「はーい」
ご馳走様でした、と手を合わせ、父と侑士の分の食器を手早く重ねて端に寄せる真珠。

「セナ、緑茶とほうじ茶、どっちにする?」
「ほうじ茶がええ」
「ゆうは?」
「ほな、俺も」
わかった、と自分と青凪の食器を手にキッチンに行く真珠を見送る。

「侑士くん」
「はい」
真珠の父に呼ばれ、向き直る。
「料理は、するか?」
「母の手伝い程度ですけど」
そか、と残った酒を飲む龍壱。
「うちは昔気質やから、基本、台所は男子禁制なんよ」
「そうなんですか」
「セナは卵も割れへんよなぁ?」

龍壱の言葉に、嘘やろ?と侑士は向かいの青凪を見た。

「割れるわっ」
コンコン、パカッやろ?と食卓でやってみせる青凪。
「調理実習でしたで」
調理実習て、と呆れた声を出す侑士。

「ウチは造り酒屋なんよ。
 京都の俺の実家が酒、作てるの」
「真珠さんに聞いてます」
そか、と龍壱は酒を飲む。
「こっちで見たら古い方で、台所は男子禁制、蔵は女人禁制。
 むかーしの習わしやけど、なんとなく今でも根付いてるんよ。
 時代錯誤や、思うやろ?」
少し考えた侑士は、いえ、と龍壱を見た。

「役割の違い、いうだけやと思います。
 前に、真珠、さんが言うてました。
 『仕込みの時期になると、蔵ん人たちは泊まり込みで酒造りにかかりっきりになる』と。
 『おばあちゃんと、蔵ん人たちの食事や生活の世話するのが年末年始の慣例』やと」

そうなんよ、と頷く龍壱。

「俺も、結婚するまでは一人暮らしやったんよ。
 料理で、段取りとか下準備しとかんと慌てるし、思うてたんとちゃうことになったら、どっから組み直すか瞬時に考えなあかん。
 料理も酒造りも、そう変わらへんのよ」

場所がちゃうてだけで誰が入ったらあかんとか、誰がせなあかんとか、慣習ちゅうのはしゃあしぃよなぁ、と酒を飲む龍壱の顔は、多少、赤くなっていた。

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