She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第21章 たぶん、友達
(めっちゃ飲む...)
ミネラルウォーターかのように清酒を飲む龍壱。
自分の母は飲まないし、父は飲んでも偶にワインを口にするくらいなので、やはり酒を造るだけあるな、と思う侑士。
ごめんね、と着替えてきた真珠が、侑士の側にある一升瓶に、ちょっと、と父を見る。
「お酒、飲ませてないよね?」
「年下やったらそう言いや。
成人しとる思て、すすめてもうたよ」
シュッとしてはるから、と笑う龍壱。
「ごめん、ゆう。
だいぶ気持ちよくなってるから、うざ絡みするけど適当に流していいから」
「構へんよ」
「まぁちゃん、侑士くんに気ぃ遣わせなさんなや」
「酔っぱらいが言うなぁ!」
「酔うのも仕事やで?
あー、今日はこんくらいの疲れやから、この酒やったらこんくらい酔うんやなぁ、って
研究よ、研究」
出た!意味不明の呑兵衛理論、と溜息をつく真珠。
「セナちゃーん、ご飯食べてくでしょう?
ゆうはー?」
どうする?と笑顔で問う佑里子に、ちょっと、と声を上げる真珠。
「なに、その『ゆう』って」
「だって、マコト、ゆうのこと『ゆう』って呼ぶんでしょ?
だから母も『ゆう』って呼ぶの」
「お父さん、『侑士くん』じゃん。
気持ち悪いからやめて」
「母親に向かってひどーい」
特に傷ついた様子のない佑里子が、いいよね?と侑士に問うた。
「マコト、かまへんよ」
「そうとしか答えられないでしょう。
気を遣う相手に聞かれて『嫌です』とは言えないって」
「マコト、」
ホンマにええんよ、と微笑む。
「オカンも姉ちゃんも、『ゆうちゃん』言うし」
「じゃ、ゆうちゃんにしよう。
『ゆう』はダメなんでしょう?
はい、ゆうちゃん、嫌いなものはー?」
特には、と言いかけた侑士に、え、と声を上げる真珠。
「納豆、嫌いじゃなかった?」
「ああ、まあ」
ちょっと誤魔化すように笑った侑士。
「はいはい、納豆ね。
セナちゃんは、相変わらずお野菜食べられないのー?」
あ、うん、と俯く青凪。
「お野菜食わんと、大きゅうなれへんで」
はん、と鼻で笑った侑士。
「うっさいわっ!
真珠は納豆、好きやんなぁ?」
「うん。でも、ゆうが嫌いなら控えようかな」
気ぃ遣わんでええよ。と言う侑士を見て笑う真珠の横顔に、青凪は、一人、ふーん、と顔を反らした。
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