She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第20章 新しい出会い
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「ほんまに氷帝なんや」
落ちきった日に、羽織っときや、と侑士が真珠の肩にかけた、純白のブレザーを見た青凪がつぶやく。
「今度はクレーコートでやろうや」
「自分、クレー得意か」
珍しいな、とトレーニング用のジャージを羽織る侑士。
「東山、学校のコートがクレーやねん」
「最初滑ったん、そのせい?」
滑った?と聞く真珠。
言いなやぁ、と忌々しそうに侑士を見上げる青凪。
「一応、オールコート用やねんけどな。
クレーに慣れとるさかい、ちと滑ってん」
自分のシューズを指す青凪。
「自分、目敏いっちゅうか嫌味っぽいちゅうか」
やな奴、と青凪は侑士を見上げる。
「褒め言葉として受け取っとくわ」
「そういうとこや。
マコト、ほんまにこんなヤツで大丈夫かぁ?
いじめられてへんかぁ?」
心配やわぁ、と肩を掴む青凪に、大丈夫だよ、と笑う真珠。
「どさくさに紛れて他人の彼女に気安ぅ触りなや」
他人の彼女、を強調して言う侑士に、やっぱ嫌味な奴や、と青凪は侑士を見上げた。
「セナ、今回も泊まる?」
この時間までいたんだしね、と真珠は携帯を取り出す。
「母に連絡した?」
「してへん」
まあ、いっか。と真珠は手にした携帯をしまった。
ちょお待ち、と侑士が歩き出そうとした2人を止める。
「泊まるってなんやねん?」
え?と侑士を見上げる真珠。
ニヤ、と青凪が笑った。
「俺とマコトの仲やもん。
別に、おかしゅうないやろ?
いとこん家に泊まるくらい」
うーん、と低く唸る侑士。
「ゆうも、来る?」
「え、おっちゃんたち知っとるん?」
「うん。会ったことはないけど、話してるよ」
大丈夫だよ、と見上げる真珠。
「やめときやぁ。
別れた時、気まずいでぇ」
青凪の誂うような目線を受けた侑士は、行く、とファスナーを閉めたラケットバッグを肩にかける。
チッ、と舌打ちをした青凪。
「ヒヨればええのに」
「そっちこそ、今からでも京都帰りや。
年頃の女ん子の家になんか、泊まるもんやないで」
「いとこじゃ!
小ぃこい頃は、一緒に寝たもんなぁ?」
ガシッ!と青凪の頭を両手で掴んだ侑士。
「な、なんや」
「...記憶、消したろ思うて」
「お前、ほんまにそういう力、使えそうやっ」
やめろ〜!と侑士の腕を掴む青凪に、(意外と仲良し)と、真珠は一人密かに笑った。
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