She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第20章 新しい出会い
(セナには申し訳ないけど)
身長差すごいな、とコートを見守る。
(セナと私、そんなに身長変わらないから、傍から見るとあんな感じなんだ)
確かに、侑士が大きい、と言うよりはセナが小さい、と言う方がしっくりくる。
侑士がセナにラケットを渡す。
(ゆうが、えっと...そう、『フィッチ』、するんだ)
ネット越しにラケットを回す侑士。セナが確認したラケットを受け取ると、セナとコートを交代した。
打点確認をする侑士に、サーブを取ったんだ、と見守っていると、マコト、と侑士に呼ばれた。
「コール、しきる?」
コール?と考え、あ、と思い出す。
「えっと、」
「1ゲーム、俺、サーブや」
ん、とさされた椅子に上がり、一呼吸置いて、以前、宍戸がやったコールを思い出す。
「ザ ベストオブ 1ゲームマッチ」
少し不安になって侑士を見ると、ひとつ頷き、左手のボールを掲げた。
「ゆ、お、忍足!サービス トゥ プレイ!」
オッケーのサインをくれた侑士が空にボールを放る。
パカンッと言うテニスボール独特の音。
ボールを追って、右へ左へと顔を向ける真珠。
侑士が打ったボールを、青凪がラケットを振る直前で見送った。
「あかんかったか」
攻めすぎたな、とラケットをくるりと回す侑士。
「サイドライン、シングルスやから内側な。
それ越えてもうたらアウトや」
なるほど、と頷いた真珠。
ボールの打点確認をした青凪が言った。
「ラブフィフティーン、やで」
「え?フィフティーン?」
「ラブが0、1ポイント取ったら15や」
一個15点、と真珠はポイントをコールした。
青凪が放ったサーブを、侑士は高速球でリターンした。
「えっと、フィフティフィフティ...?」
不安げな真珠。
「「フィフティーンオール」」
高低二つの声に、少し笑った真珠のコールが響く。
侑士のサーブを的確にリターンした青凪。
いくらかのラリーの後、青凪の力強いスマッシュがコートを抜ける。
「っ嘘やろっ!」
高めの球に構える侑士に、青凪は崩れかけた体勢を慌てて戻そうとした。
伸ばした腕で少し高く飛んだ侑士が高打点から返したボールが、青凪のコートで垂直に跳ね返った。
「ダンクかいな」
「やれるもんならやってみぃ」
トン、とラケットを肩に当ててせせら笑う侑士に、うるさいんじゃボケェ!と青凪は噛みつくように返した。
