She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第20章 新しい出会い
もう少し練習する、と言う青凪に付き合って、コートのサイドベンチに座っていた。
「マコト」
背後からの声に振り返る。
「ゆう!」
なにしてんねや?と優しい笑顔が見下ろしていた。
「今、帰り?」
「今日、部活休みやから。
空いとったらコート使おうか思たら、可愛ぇ子おったから、どないしよかなぁ見てたら、マコトやった」
「また、そういうこと言う」
もう、と笑う真珠の向こうで、こちらに気付いた彼に目線をうつした侑士。
振り返った真珠が、セナ!と呼んだ。
「誰や?」
できるだけ、穏やかな声が出たと思う。
「いとこのセナ!
京都に住んでて、遊びに来てたの」
「いとこ?」
真珠の言葉に、(なんや)と大きく安堵する。
フェンス越しにこちらを見たセナ。
じっ、と見上げる目線に、にこりと笑う。
「忍足 侑士。よろしゅう」
「調月 青凪。よろしく」
「自分、関西の人間か?」
「京都やねん。
自分、大阪やったっけ?」
俺のこと話したん?と真珠に問うと、ちょっと、と照れ笑った。
「なあ、和歌山、おったことある?」
青凪の問いに、おったで、と返す。
「小3の頃」
「自分、覚えてへん?」
え?と青凪の顔を見る。
「いや?会うた事、あるか?」
「...近少、出てへんかった?」
きんしょう?と侑士に聞く真珠。
「『近畿少年スポーツ大会』。
出たで。転校してすぐは出られんかったから、数試合だけ。
確か...準決勝直前までは和歌山の代表で出とったよ」
「そんあと、大会出てへんよね?」
「え?ああ、国内いてへんかったからなぁ。
4年生ん時はルクセンブルクにおったから、日本の大会、出てへんよ」
和歌山、ルクセンブルク...と確かめている真珠に、生まれたんは東京やったんよ、と笑いかける侑士。
「引越6回だもんね」
「殆ど関西圏やったけどね。
東京来ぉへんかったら、中学は大阪の四天宝寺行く予定やってん」
四天宝寺、と青凪が顔を上げる。
「あっこにも、忍足っておったよね?」
「ああ、謙也やろ?いとこやわ」
「そーいうことかいなっ!」
やからやぁ!と騒ぐ青凪に、真珠と侑士は顔を見合わせて首を傾げた。
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