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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第20章 新しい出会い


その後も、次々と飛んできては、サービスライン上で止まり、整列して行くボール。

行こうぜ、と出ていく男たちを他所に、ボールに近づく。

「せ、セナ...?」

じっ、とボールを見つめ、指先で触れる。
(テニスボール...)
自分が借りたものと同じく、合わせ目に記名がある。

整列するボール。それらは、隣り合う球とピタリと揃っている。

「ボール、どこから来たんだろう...」
そっと近づいて、恐る恐るボールに触れる真珠。

「マコトちゃん、ちょい、離れとって」
「え?あ、はい」

ボールが並ぶ逆のコートに立つ。
並ぶボールをしっかりと見て、サーブを打った。
スピンをかけたボールは、整列するボールの少し手前で止まった。
2球目は、きちりと同じライン上に止まった。

綺麗に並んでいたボールに、少し、歪みながら並んでいく。

(この距離で、せいぜいこの精度や...)

遠方からのサーブでそれらを作り上げたのだとしたら、余程の熟練者だ。

「ここ、テニス強い人、集まる?」
「どうだろう?
 スクールはしてると思うけど...」
あ、と溢した真珠。
「ここを教えてくれた人は、テニス、すごく上手だよ」
そう言った真珠。

拾ったボールを、ぎゅっと握る。

「なあ、そん人、テニス歴、どんくらい?」
「え?わ、わかんない。
 今、セナと同じ歳だけど、小学校の時にはもうそれなりに歴があるはず...」
「どっか、スクール行っとる?」
「行ってない、と思う。
 けど、氷帝学園のテニス部だよ」
「氷帝か。こっちやったら、結構強い方やんな」

そうみたいだね、と言う真珠。

「去年まで中等部でレギュラーだったはず」
「っマジっ!?」
あの氷帝でっ!?と驚く青凪。

「セナも中学の時、レギュラーだったじゃない」
せやけど、と青凪は首を横に振る。
「ウチのレギュラーなんか、氷帝行っても準レにもなれへんよ」
「『準レ』?」
準レギュラー、と青凪は答える。

「氷帝学園、スポーツ全体的に強いし、特にテニス部は有名や。
 中等部の部員、200くらいおんねんで」
「200っ!?
 え?レギュラーって、何人選ばれるの?」
「ダブルスとシングルス、被せ無しで10人程度やね。
 中体連とかやったら、ダブルスシングルス、どっちもやるやつ多いで」

俺もやし、という青凪は、手中のボールを高く、空に投げた。
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