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She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第20章 新しい出会い


青凪と散らばったボールを集めていると、フェンスが開く音。
ふとそちらを見ると、4人組の若い男性。
自分と同じか少し上くらいに見える4人と目が合う。

ニヤニヤとしている彼らに会釈だけ返す。

あまり人が良さそうではない4人を睨む青凪。

「セナ、喉乾いちゃったから、ジュース買いに行こう?」
近寄りたくない雰囲気に、ね?と青凪をコート外に誘う。
貸しボールのバスケットを腕に掛け、ベンチにある青凪のラケットバッグとスポーツバッグに手を伸ばす。

「お姉ちゃん大変じゃない?」

ベンチから立ち上がる前に上から影ができ、顔を上げる。

結構可愛い、と細められた目線。

「コート、使われますか?」
「そうだねぇ」
「では、こちらも開けますね」

すみません、と身を捩るように腕を伸ばした真珠。

「あっ」

掴もうとした青凪のラケットバッグを取り上げられた。

「勝手に触んなや」
睨み上げた青凪に、おお、怖っと言って後方の男にバッグを投げた。

「なにすんねやっ!」
「彼のです。返してください」
「いやですぅ、返さないですぅ」

真珠の真似をした男に、他の男たちが笑う。

「ええ加減にせぇっ」
前に出かけた青凪に背を向けて立ちはだかった真珠。

「返していただけませんか?
 彼の、大事なものなので」
「大事なら、肌身放さず持ちましょうねっと」
「あっ、」

男が上げた腕から離れるラケットバッグ。
コートにぶつかる直前、青凪がバッグを抱え込むようにして滑り込んだ。

「なんだよ、その目」

気に入らねえ、と青凪に伸びた手。

男を睨み上げる青凪と、伸ばされた手との間を、ヒュッ、と空を切りながらなにかが通り過ぎた。

「あ?」
テン、テン、とコートに転がるテニスボール。

「どこからだ?」
ボールの行方を追った男が飛行元に顔を向けた。

ビュッ、と新たに耳元で強く風を切る音。
転がっていたボールに当たると、ピタリと2つ並んだ。
次に左右から音も無く飛んできたボールは、地面に着地するととも男たちの足元でぶつかり合い、二つのボールを挟んで一列に止まった。
音もなく新たに飛んできたボールが、ドン、と振動のような音を立ててコートに擦過痕をつけ、ビュッ、と風を切って固まる男の肩上を通り過ぎた。

ゆっくりと振り返ったコートのサービスセンターラインに並ぶボールに、気持ち悪ぃと男が身震いした。
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