She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第18章 はじめてのあさ
プニップニ、と自分の腕の肉に嫌悪を感じていると、むんず、とそこを掴む大きな手。
「『危機感持て』言うたやろ」
え?と聞き返すまもなく、トス、と後頭部に枕が当たる。
「確かに、柔そぉな肌しとるな」
つ、とベッドに投げ出された腕の内側を撫でる指先。
掴まれた自分の手首が、余程細いのではないかと錯覚しそうな大きな手に、影を作る侑士を見上げる。
「ゆう」
「真珠...」
耳に流れ込む侑士の声に、鼓動が早くなるのがわかった。
見つめる視線に耐えきれずに下げた視線の先には、覆いかぶさる侑士の弛んだパジャマから覗く素肌。
ゆっくりと近づく瞳に、目を閉じる。
このまま彼に任せていいのだろうか。
何か、するべきことがあるのだろうか。
(どう、したら、いいんだろう)
苦しくなく、それでも確かに感じる侑士の体温とウエイトに、身体が固まる。
なにもできず、ただ、固まって目を閉じているだけしかできなかった。
✜
指先が余るほどに細い手首。
そこから、確かな震えを感じ取った。
鼻先が触れ合う距離感で見る細い睫毛も震えている。
(さすがに、悟てくれたか)
目の前の真珠を欲してうるさく鳴く心音。
このまま身体の滾りをぶつけてしまおうか、と考えていた。
けれど
(俺の欲だけ満たされたところで...)
そのために、彼女の震えを見て見ぬふりはできない。
(そら、女ん子は怖いわなぁ)
自分より力のあるものに、カラダの中を暴かれるというのは恐怖でしか無いだろう。
どれだけ優しく、丁寧にと思っていたって、その恐怖だけは、分け与えてもらいようがない。
じわ、と真珠の睫毛に染みていく雫に気づき、腕を掴んで引き起こした。
「え、」
「今日、どないする?」
なんや予定ある?と向かい合って座る真珠の両手を包むようにして、問いかける。
「な、い、です」
敬語の返事に、そうか、と頷き、小さい手を撫でる。
あの、えっと、と戸惑った声の真珠。
「気にしなや」
オズ、と見上げる頭を撫でる。
「自分で『待つ』言うたんやから、待つで」
それは、半分、自分に言い聞かせていた。
「ごめんなさい」
「なんも、謝るようなこと、しとらんやろ」
掌の中で蠢いた掌を解放すると、首に腕を回して抱きついてきた真珠を抱き締め返した。
✜