• テキストサイズ

She is the pearl of me. @ 忍足侑士

第17章 いっしょのよる



私室に入り、奥に向かいかけた脚を止める。

(どこ、寝かそ)

えっと、と部屋を見渡し、数秒考える。

(ええんか?)

けど、そこ以外場所ないし、といつも自分が使うベッドに視点を止める。

(せや。)

クローゼットの布団を思い出し、一時的に、と寝慣れたベッドに真珠を寝かせる。

「ん?」
降ろされた浮遊感が不安だったのか、パジャマの胸元を掴む手。

「さすがに、一緒には寝られへんよ」

真珠と二人、一緒に寝るに支障はないベッドだが、さすがに、と言い聞かせるように言って、掴む指先を解く。

向日恒例の家出時に使う布団で寝ようか、とまだそう近くない眠気に、本棚へと向かおうとした。

つい、と掴まれたパジャマの裾。

そこを摘む真珠が指先に、しゃあないなぁ、と手を取って座り込む。


「自分、皿に乗せられとるん、わこうてる?」

ベッドに片腕を乗せ、すよすよと寝ている真珠の寝顔に顔を寄せる。

「姉ちゃんおってよかったわ」

壁一つ隣は姉の部屋。

「悪ぅ思わんでよ」

握っていた真珠の掌にキスをする。

指を絡めて握り、上体を上げると、寝息が漏れる唇にキスをする。

柔らかい頬を食み、狭い額にも唇を落とす。


一つ、深く呼吸した真珠。

「無防備やんなぁ。
 幸せそうに寝よって...襲う気も失せるわ」

不安にさえなってくる、とため息をついて、白く晒されている首筋に吸い寄せられるように唇を寄せる。

いつも真珠から香る甘い香りを、肺いっぱいに吸い込む。

(ああ、ジャスミンの香りやな)

体温に温められた香りは一層甘く、それに満たされた胸がどくどくとうるさい。

だめだ、と頭でわかっていて、内腕に指を這わす。

ちう、と首の付け根に吸い付いた。


 ✜


/ 311ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp