She is the pearl of me. @ 忍足侑士
第17章 いっしょのよる
入浴後、部屋に向かっていると、私室の前で真珠と恵里奈が話していた。
「マコ、一緒になんか見よや」
「いいよ」
あ、こちらに気づいた恵里奈。
「ゆうちゃん、あれ、セットして」
「ええよ」
『あれ』?と言う真珠を連れて、リビングに戻る。
リビングの壁に埋め込まれているテレビ。
その脇の何かを侑士が操作すると、音と共に降りてくるスクリーン。
見上げると、天井の中ほどの梁にレンズがあった。
「プロジェクタ?」
「ホームシアターやね」
ソファのサイドのポケットにあるリモコンを手に取ると、スクリーンに起動画面が投影される。
「すごーい!」
「ゆうちゃんの部屋にもあるよね?
天井投影のやつ」
あったかな?とさっきまでいた部屋を思い返す真珠。
「本棚んとこ、丸い、ちっこい砲台みたいなんあったやろ?」
「あっ、辞書とか置いてあった段のやつ」
そう、とネットワークとの接続を確認する。
「映画館行くまでの時間無いな、言う時、あれで配信の映画とか見るんよ」
こうやって、と照明を落とすと、壁に投影される光。
タブレット画面のようなものが投影され、いくつか映画配信サービスのアイコンが浮かび上がった。
「ハイテク過ぎませんか」
「ただのプロジェクタや」
「いいなぁ、うち狭いしアパートだからこんなの無理」
「ねえ!マコ、あれ、あれ見た?」
「どれよ?」
的を得ない恵里奈の問いに苦笑いする真珠。
「ほら!90年代の音楽めっちゃ流れる...高校の時の友達集めるやつ!」
えー?と悩む真珠の横で侑士が言った。
「SUNNYか?」
配信サイトで検索したサムネイルを表示させると、それ!と恵里奈が指さす。
「さっすがゆうちゃん」
そう言って、恵里奈は袋菓子を開封した。
「あっそれ、俺が買うたやつ」
まあええけど、と恵里奈にリモコンを渡した侑士。
「え?ゆうちゃん、見ないの?」
「飲みもん、作てくる」
「ティーソーダ希望!」
「めんどいもん頼むなぁ」
炭酸水あったかな、と真珠に目線をやる。
「マコトは?」
「おまかせしていい?」
待っとき、と軽く真珠の髪を撫でると、再びキッチンに立った。
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