第7章 たった一人の大切な人
仕事終わり家に帰ると
ありえないのに扉の前に座る
大ちゃんの姿が見える…
"また亡霊さんが現れた"
なんて笑いながら
ゆっくりと大ちゃんに近付き
いつものように大ちゃんの亡霊さんを
ぼんやりと見つめていると
不意に大ちゃんの亡霊さんは顔を上げ
私を見た瞬間
腕を伸ばし私の体を抱きしめる…
いつもなら
触れようとすると消えてしまうのに
抱きしめられた腕の感触も
大ちゃんの匂いも
「まこちゃん」
と私を呼ぶ声も
全てが消えずに目の前にある…
これはもしかして
亡霊さんではなく
本物の大ちゃん…?
そう気付いて
慌てて抱きしめられた
腕から抜け出そうとすると
「絶対に離さない…」
そう言って大ちゃんは
私の体をさらにギュッと抱きしめた…