第7章 たった一人の大切な人
康二くんと映画を観たあと
帰りの車の中で
「一つお願いがあるんですけど…」
そう切り出すと
「お…なんや言うてみ笑」
なんて康二くんは嬉しそうに笑う…
でも…
「私…あのマンションから引っ越したくて…
それで大ちゃんが家にいない日を
教えてほしくて…」
そう切り出した瞬間
少し悲しそうな顔をして
私の頭に手を伸ばし
ふわふわと優しく撫でながら
「ほんまにええの…?」
と遠慮気味に聞く…
「うん…」
と小さく呟くと
「わかった…
じゃあさっくんのスケジュール確認して
連絡するわ…
でもその代わり
俺にまこちゃんの引っ越し手伝わせて?
引っ越しなら男手あった方がええやろ笑」
そう言って
素直に"うん"と言えない私に
「こういう時のための友達やんか笑」
と優しく笑ってくれた…