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好きに理由はいりません

第6章 優しい嘘


いつもと同じように仕事を終え

家に帰ると

私の家の前になぜだか康二くんが

立っていてドクンと小さく胸が騒ぐ…


「どうしたんですか…?」

そう平静を装い

鍵を開けながら問いかけたのに


「あのな…さっくんのこと…

なんやけど…」


"さっくん"の一言に

また目頭がジンジンと

懲りもせず熱くなって

唇をギュッと痛いほどに噛み締めた…


リビングに招き入れ

ソファーに座ると同時に康二くんは

私の顔を見て     

「まこちゃん…痩せたよね?」


なんて心配そうに言う…


そんな康二くんから目を逸らし

「そんなことないです…」

そうぽつりと呟く


「さっくんのせいやんなぁ…

でもあれは違くて…」


そんな

ずっと聞きたかった言葉のはずなのに


いざ目の前にするとあまりにも怖くて


「大ちゃんのことなら…もういいんです…

私と大ちゃんじゃ

そもそも釣り合うはずもないし…」


なんて目を逸らし耳を塞いでしまう…



そんな私に康二くんは


「さっくんな?

ずっとまこちゃんに連絡したがってたよ?

あの記事でて、会社からめっちゃ怒られて

マネージャーからスマホ没収されてさ

仕事の時以外は

ホテル監禁状態で家にも帰してもらえなくって

無理して笑ってたけど

ずっと辛そうやった…

ほんま見てられへんぐらい

でもまこちゃんが怒るのも仕方ないと思うわ

あんな写真撮られてさ…

でもな…?

さっくんてそんな器用じゃ無いよ?

好きになったら一直線で

まこちゃんのこともほんと

ずっと昔から大好きやったんやで?

だって俺ずっと聞かされてたもん…

まこちゃんてかわいくて大好きな子が

おるんやって…

一人が嫌いなその子のために早くデビューして

迎えに行ってずっと側にいてあげたいって…

だからさ…

言い訳ぐらいさせてやって…?

勝手なこと言うけど

もう少しだけ

待っててあげてくれへんかな…?」


なんてすごく辛そうに言うから…


「私だって大ちゃんに会いたいです…」


そんな隠してた本音がこぼれ落ちて


いくら唇を噛み締めたって

涙は止まってくれなくて


苦しくて息さえできない私の背中を

康二くんは泣き止むまでずっと

ただ優しく撫でてくれた…
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