第5章 アイドルってやつ
あの日無事に
大ちゃんと付き合うことになったものの
仕事が忙しい大ちゃんとは
隣に住んでいるにもかかわらず
デートどころかなかなか会うことも出来ずにいて
やっと休みが重なった今日
初めてのデートをする約束をした
前日からソワソワドキドキして
まったく眠れずに朝を迎えた…
目の下に出来たクマを必死にメイクで隠し
我が家のお隣
大ちゃんの家で映画を見てる最中
激しい眠気に襲われて
気がつけばふわふわ夢の中
「まこちゃーん笑?」
そう名前を呼ばれて目を開けると
すでに映画は終わりエンドロールが流れていて
大ちゃんの肩にもたれかかって
眠っていた自分に気付く…
「うわぁ、ごめん…汗」
そう言って慌てて頭を起こすと
「別にいいよ
寝顔もかわいかったから笑」
なんて甘すぎる言葉と一緒に
大ちゃんは可愛過ぎる笑顔を私に向けて
頭をよしよしと撫でる
なんだかむずむずと恥ずかしくなって
「大ちゃんてさ…
ほんと誰にでも優しいよね笑」
なんて笑ってソファーから立ち上がろうとすると
大ちゃんは私の手を掴んで
「まこちゃんだけだよ?」
そう真剣な顔で言う…
大ちゃんの目に見つめられると
いつだって言葉がうまく出てこなくて
「うん…あの……」
なんてしどろもどろになる
そんな私に大ちゃんは…
「好きな子には特別優しくするし
まこちゃんだけが俺の特別だから
ちゃんと覚えといてね?」
そう言って笑うと
ふわりと私の体を包み込んだ…