第3章 認めたら負け
目の前に近づく大ちゃんの顔に
ぎゅっと目をつぶると
大ちゃんは鼻先がくっつきそうな距離で
動きを止めて
「すごーく今キスしたいけど無理やりは嫌だから、
まこちゃんが受け入れてくれるまで待つよ笑
だから早く俺を好きになってね笑?」
そう言うと大ちゃんは私から顔を離し
笑顔でよしよしとまた頭を撫でる…
本当に嫌になる…涙
人の心を揺さぶるだけ揺さぶっておいて
なんでそんな風に余裕のある態度が
とれちゃうんだよ…
私なんて大ちゃんの笑った顔を見るだけで
ただそれだけで
理性も平常心もぜんぶ吹っ飛んじゃうのに…
「大ちゃんなんか嫌いだよ…」
そう小さく呟くと
そんな私の言葉に大ちゃんは
しゅんと肩を落として…
「本当に嫌い…?」
なんて私の目を見つめながら聞いてくるから
素直になれない私は
「嫌い…は言い過ぎたけど…」
そう言って大ちゃんから顔を逸らす
でも次の瞬間
「よかった…嫌われてなくて…笑
大好きだよ…まこちゃん」
そんな甘い甘い言葉と一緒に
大ちゃんの腕にぎゅーと抱きしめられる
でもこの時私は
嫌と言うほど確信したんだ…
きっと私はまたあの時のように
いや…あの時以上に
相手がアイドルだという現実さえ忘れて
大ちゃんを好きになってしまうだろうって…
だから私は今から
この甘く優しく
とっても残酷な腕の中から
全速力で逃げなくちゃんいけないんだ!