第3章 認めたら負け
ゆっくりと大ちゃんに近づき
唇が触れそうになった瞬間
大ちゃんはばっと目を開き
「酔っ払いとはキスしません笑」
そう言って
お酒のせいで熱くなった私のほっぺたに触れる
こういうとこずるいよな…笑
いつもガツガツブレーキも無しに
私の中に踏み込んでくるくせに
私が勢いにまかせて
アクセルを踏むと大ちゃんが
それを止めるようにブレーキを踏む…
人の心をかき乱すだけかき乱しておいて
ほんとひどいやつだ…
「別にいいもんね…」
そう呟いて大ちゃんから離れようとすると
それを拒むように
大ちゃんは私を抱きしめて
「大好きだよ…まこちゃん笑」
そう耳元で囁く…
うん…わかってるよ…大ちゃん
大ちゃんの言う大好きは
私の好きとは
違うんだってこと…
手のかかる妹ぐらいにしか思われてないのは
わかっていても
あの頃の私には
側にいてくれる大ちゃんが
私だけの王子様に見えていたんだ笑
それが今はみんなの王子様になって
私なんかが簡単に触れちゃいけない存在に
なってしまったんだよなぁ
だからもうこれ以上は
近づきたくない
傷つくのは一度で十分
だから
「大ちゃんなんて大嫌い…」
そんな不器用なやり方で私は
自分自身を守るんだ…